本研究は、ヒト免疫細胞を生着させたヒト化マウスを用いて金属アレルギーモデルを確立し、ヒト免疫細胞によるin vivoでのNiアレルギーの発症機序を解明することを目的として計画した。 レシピエントマウスは今年度も、RAG2-/-γc-/-マウスを用いた。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の生着効率を上げるために、リンパ球数、免疫不全状態を亢進させるためのクロドロネート封入リポソームの投与条件を更に検討し最適化を目指した。その結果、弱いながらヒトPBMCの生着をみたが、ニッケルアレルギーを誘導するという現象はみられなかった。 ヒト化マウスによる金属アレルギーを含むヒト疾患の病態解明は、次世代の医療開発を可能にする重要な研究課題であるという位置づけは不変であり、別のタイプの免疫不全マウスの使用、CD34陽性造血幹細胞の移植など、今後も引き続き実現に向けて挑戦していく。
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