研究課題/領域番号 |
24659812
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50273694)
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研究分担者 |
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
中田 匡宣 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90444497)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50423421)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 口腔細菌 / シクロデキストリン / 上皮バリア |
研究概要 |
口腔レンサ球菌は,口腔内で豊富に存在するデンプンやグリコーゲン等のα-グルカンを分解し,エネルギー産生に利用する.α-グルカンからシクロデキストリンα-グルカノトランスフェラーゼ (CGTase) の作用により得られるシクロデキストリン (CD) は,上皮細胞膜上のコレステロールを包接し,メタロプロテアーゼ依存的な上皮バリア破壊シグナルを誘導する.我々は,数種の口腔レンサ球菌および歯周病原性細菌が推定CGTaseを有することをデータベース上で確認した.本研究では,口腔細菌由来CGTaseによるCDの産生と口腔フローラによる全身疾患発症との関連性について解析し,CDを介した口腔細菌の全身への伝播,および簡易診断マーカーとしてのCDの可能性を検討することを目的とした. まず,CGTaseを有することが推測された Streptococcus pyogenes,S. sanguinis,S. mitis,S. oralisおよびPorphyromonas gingivalisのα-グルカン分解能とCD産生量を解析した.その結果,全ての試験菌種がα-グルカン分解能を有することを確認したが,α-グルカンからCDを産生した菌種はS. pyogenesとP. gingivalisの2種であった.そこで,各菌種の推定CGTaseのアライメント解析を行った結果,S. pyogenesおよびP. gingivalisは,推定CGTaseのN末もしくはC末にCBM20ドメインを有することを確認した. 以上の結果から,口腔細菌のCGTase活性にはCBM20ドメインが重要であることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画に基づき,CD産生能を有する口腔細菌の選出を行い,CGTase活性に重要なドメインを明らかにした.現在は,S. pyogenesおよびP. gingivalisについて,CGTase欠失株およびリコンビナントCGTaseの作製を進めている.従って,本研究課題は順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得られた解析結果を基に,口腔粘膜上皮細胞および動物モデルに対するCDの病原性を検討する.さらに,口腔細菌由来CGTaseの感染防御抗原としての可能性およびCDの病原性に対するメタロプロテアーゼ阻害剤の予防薬としての効果を検索する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を遂行する上で必要に応じて研究費を執行したため,平成24年度の研究費に未使用額が生じた.しかし,研究計画に変更はなく,今年度は前年度の研究費も含め,当初の予定通りに研究計画を実施する.
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