研究課題/領域番号 |
24659813
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 敏男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30107776)
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研究分担者 |
池亀 美華 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70282986)
河井 まりこ 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40379839)
杉山 稔恵 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10272858)
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キーワード | 骨髄骨 / 卵殻腺 / 鳥類 / 骨形成 / プロゲステロン / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
研究概要 |
平成25年度の実績は下記の通りである。 1)卵殻腺における卵の石灰化と骨髄骨の同調機構について,骨吸収を誘導するRANKL,関連してRANK,OPGの発現を卵管(卵殻腺,胸部,膨大部)ならびに骨髄骨について抗体を作製しウェスタンブロット,免疫組織化学的に検索すること企画した。既存の抗体と実験動物ウズラは交叉反応しないことが示唆されたため,ニワトリの塩基配列から前記の抗体を作製し,現在解析中である。2)生化学的な骨吸収・骨形成の指標として血中のCaならびにアルカリホスファターゼ(ALP)活性の測定を各ステージ(卵管内における卵の位置に対応して)に分けて行ったが,各ステージ間で明瞭な差はみられなかった。食餌のタイミングと血中Caに関係があるといわれているので,今後考慮する必要があることが分かった。ALPについても各ステージにおいて有意な差は検出できなかった。 当初計画では平成26年度に実施予定であったプロゲステロンの骨髄骨に対する影響を検索した結果,次のような新規性に富む結果が得られた。 1)骨髄骨の骨吸収期にプロゲステロンを投与すると産卵は遅延気味になり,産卵された卵殻は所謂軟卵であった。他方,骨髄骨の破骨細胞を観察すると,通常活発な様相を呈する破骨細胞は旧式の破骨細胞と同様な携帯を示し不活発な様相を呈していた。したがって,プロゲステロンは破骨細胞の活性を抑制することが強く示唆された。この現象については従来報告は無く,本研究において初めて示されたものであり,今後プロゲステロンと破骨細胞の関係,さらに骨代謝と性ホルモンの関係に新たな観点を提供する所見を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニワトリの卵管,すなわち卵殻腺,狭部,膨大部の各ステージにおけるRANKLの発現および骨髄骨におけるRANK,OPGの解析が遅れている。これらは実験動物としてのニワトリはヒナとして導入する必要があり,その入荷時期が限られており実験開始が遅れた。他方,「実績の概要」欄に記載のとおり,骨髄骨に対するプロゲステロンの新たな作用の所見が得られたことは大きな成果と思われる。以上を考慮し,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は主として下記の実験を行う。 1)現在行っているニワトリの卵管,すなわち卵殻腺,狭部,膨大部の各ステージにおけるRANKLの発現および骨髄骨におけるRANK,OPGのウェスタンブロット,免疫組織化学的解析を行う。すなわち,卵が卵殻腺に入り,機械的張力が働くことにより,卵殻腺から破骨細胞の活性化因子であるRANKLが分泌されるか否かを確かめる。同時に骨髄骨においてRANKLの受容体であるRANKならびに,デコイ受容体であるOPGの産卵周期における動態を調べる。 2)性ホルモンの一つであるプロゲステロンが破骨細胞の活性を抑制するという新たな所見が得られたので,この所見を補強するための実験を行う。具体的には,♂ウズラにエストロゲンを投与すると骨髄骨形成が誘導され,エストロゲン投与を中止すると形成された骨髄骨は吸収されることが知られている。そこで,♂ウズラを用いエストロゲンにより骨髄骨形成を誘導し,その後エストロゲン投与を中止して骨髄骨吸収を惹起させ,同時にプロゲステロンを投与し骨髄骨吸収を抑制するか否かを観察する。この実験によりプロゲステロンの破骨細胞に対する抑制効果がより強固になるものと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費の支出がなかったことが大きな要因である。 試薬等の消耗品代に充てる。
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