研究課題/領域番号 |
24659813
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 敏男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30107776)
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研究分担者 |
池亀 美華 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70282986)
河井 まりこ 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (40379839)
杉山 稔恵 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10272858)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ウズラ / 骨髄骨 / 卵殻腺 / 破骨細胞 / プロゲステロン / 性ホルモン / 骨吸収 / 鳥類 |
研究実績の概要 |
最終年度は,平成25年度にプロゲステロンは産卵ウズラの骨髄骨破骨細胞の活性を抑制するという,従来の報告に無く極めて新規性の高い知見を基に研究を実施した。そこで,前述の所見を強固にするため追試実験を行うと共に♂ウズラにエストロゲンを投与して実験的に骨髄骨形成を誘導し,プロゲステロンがエストロゲン投与中止による骨吸収を阻害するか否かを観察した。その結果,産卵ウズラの卵殻石灰化時期にプロゲステロン投与しおよそ10時間後に卵採取すると,卵殻の石灰化は著しく阻害されていた。同時に骨髄骨の破骨細胞を観察すると,細胞内の空胞構造が消失し不活性な様相を呈し,且つTRAP活性も若干減弱していた。すなわち,破骨細胞の活性は抑制されていた。他方,♂ウズラを用いた実験においては,まずプロゲステロンには骨髄骨誘導能が無いことが確かめた後,エストロゲン投与中止による骨髄骨吸収に対するプロゲステロンの影響を調べた。プロゲステロン投与した骨髄骨は対照群である投与中止群の残存骨髄骨量に比較し多量の骨髄骨が認められ,骨吸収が抑制されることが明らかになった。これらの一連の結果は,骨組織と性ホルモンの関係について新たな所見を加えるもので,プロゲステロンと骨代謝という新しい視点を提供するものと考えられる。 また,平成26年度には,卵の存在により卵殻腺に働く張力と破骨細胞の動態を検索した。すなわち,卵が卵殻腺中に入り卵殻石灰化が開始し,且つ骨髄骨の破骨細胞が活発な時期に卵を物理的に摘出して骨髄骨破骨細胞の動態を観察した。その結果,破骨細胞は骨吸収休止期の様相を呈した。したがって,破骨細胞の骨吸収活性は卵殻腺中に卵が存在することで維持されるが,卵摘出を行い卵殻腺から張力を取り除くと破骨細胞活性が抑制されたものと推測される。しかし,今回の研究では,卵殻腺にかかる張力と破骨細胞の活性の間を媒介する因子は明らかにならなかった。
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