研究課題/領域番号 |
24659814
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高田 隆 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (10154783)
|
研究分担者 |
北川 雅恵 広島大学, 大学病院, 助教 (10403627)
犬伏 俊博 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (30550941)
宮内 睦美 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (50169265)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | ラクトフェリン |
研究概要 |
本年度は、まず、関節リウマチ自然発症モデルマウス (SKGマウス) を用いて実験病理学的検討を行った。SKGマウスにMannanを投与することで、関節の臨床的評価により発症後経時的に炎症スコアーが上昇することを確認した。さらに、発症後20週経過時にマイクロCTによる撮影を行い、足関節における骨の破壊と骨密度の低下が起こることを確認した。組織学的評価では、関節リウマチ発症マウスにおいて著しい炎症細胞の浸潤と関節軟骨の消失を認めるとともに、多数の破骨細胞による骨の吸収像が確認された。これらの結果より、本動物実験モデルはヒトにおける慢性関節リウマチの病態と酷似しており、慢性関節リウマチの発症や進行に対する抑制作用を検討する上で非常に優れた実験モデルであることを確認した。一方で、血清ならびに関節滑液中のサイトカンイン量を ELISA にて計測を行ったが、今回検討した方法では TNF-alpha, IL-6, IL-1beta いずれのサイトカインも検出限界であったため、高感度 ELISA を用いて再検討する必要があると考えられた。これら一連の結果を踏まえ、現在、リポソーム化ラクトフェリン (L-LF) の経口摂取により関節リウマチの発症・進行が抑制されるかについて検討中である。In vitro の実験ではマクロファージを用いた LF の抗炎症作用についても検討を行い、LF の投与により IL-1beta や TNF-alpha 刺激により惹起される NFkB の活性化が抑制されることを新たに発見した。現在、詳細なメカニズムについて検討を進めている。さらに、ヒト関節リウマチ滑膜細胞株を入手することに成功したため当初の計画を変更し、ヒト関節リウマチ滑膜細胞株を用いてすでにLF の抗炎症作用についての検討に着手している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載の通り、本年度は関節リウマチモデルの確立を達成した。また、リポソーム化ラクトフェリン (L-LF) の経口摂取により関節リウマチの発症・進行が抑制されるかについてすでに検討中を始めている。さらに、培養細胞を用いた検討ではマクロファージに対する抗炎症作用について新たに明らかにしている。また、ヒト関節リウマチ滑膜細胞株を入手することができた。これらの結果より計画がおおむね順調に進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、リポソーム化ラクトフェリン 経口摂取の関節リウマチの発症・進行における抑制作用について評価を進めていく予定である。また、そのメカニズムを明らかにすることを目的として、滑膜細胞に対するラクトフェリンの抗炎症作用を確認するとともに、分子生物学的メカニズムについて検討していく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
|