研究概要 |
1.SHEDの単離と培養:九州大学病院小児歯科外来で、患児ならびにその保護者の同意のもと採集された脱落乳歯の歯髄から、乳歯幹細胞(SHED)を単離した。フローサイトメトリー法にて、間葉系幹細胞のマーカーの発現(CD146, CD90, CD105, CD73陽性;CD34, CD45, CD14陰性)を確認し、さらに骨芽細胞/軟骨細胞/脂肪細胞への分化誘導も示した。単離したSHEDは3継代し、研究に供した。 2.SHEDにおけるエリスロポイエチン(EPO)受容体の発現解析および機能性解析:RT-PCR法、フローサイトメトリー法、免疫蛍光染色法、Western Blotting法にてSHEDにおけるEPO受容体の発現を明らかとした。また、EPO(1, 10 , 100 ng/ml)刺激下にて、EPO受容体下流分子Stat5のリン酸化の経時的変動を解析したところ、刺激後30分程でStat5のリン酸化の上昇が確認された。siRNA法により、EPO受容体の発現の低下およびStat5の発現ならびにリン酸化の低下を確認した。 3.EPO刺激SHEDの生体内骨髄ニッチ再生能力を解析:EPOで3日間刺激したSHEDとハイドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム結晶とを混合し、免疫不全マウスの皮下に移植した。移植8週後の移植体を用いた組織学的解析(パラフィン切片)により、EPO刺激群での骨髄ニッチ形成の増加所見が認められた。免疫染色法により、新生骨表面にヒト由来細胞の局在を示した。EPO受容体およびStat5 siRNAで処理したSHEDを同様の手法で移植した移植サンプルで骨髄ニッチの再生能力の比較検討を組織学的に積極的に行っている。 また、平成24年度の歯科基礎医学会にてサテライトシンポジウムを開催し、歯の幹細胞による再生医療に関する知識の集積と情報交換に努めた。また研究成果も発表した。
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