研究概要 |
本研究では、乳歯幹細胞を利用した造血組織の誘導を目的とし、in vitroならびにin vivoの研究を行った。 前年度までに、1.脱落乳歯の歯髄から、乳歯幹細胞(SHED)を単離した。2.SHEDにおけるエリスロポイエチン(EPO)受容体の発現解析および機能性解析:RT-PCR法、フローサイトメトリー法、免疫蛍光染色法、Western Blotting法にてSHEDにおけるEPO受容体の発現を明らかとした。また、EPO(1, 10 , 100 ng/ml)刺激下にて、EPO受容体下流分子Stat5のリン酸化の経時的変動を解析したところ、刺激後30分程でStat5のリン酸化の上昇が確認された。siRNA法により、EPO受容体の発現の低下およびStat5の発現ならびにリン酸化の低下を確認した。 従って、本年度は、in vivoでの骨髄造血能について重み検索した。1.EPO刺激SHEDの生体内骨髄ニッチ再生能力を解析:EPOで3日間刺激したSHEDとハイドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム結晶とを混合し、免疫不全マウスの皮下に移植した。移植8週後の移植体を用いた組織学的解析により、EPO刺激群での骨髄ニッチ形成の増加所見が認められた。免疫染色法により、新生骨表面にヒト由来細胞の局在を示した。2.SHED移植体より細胞を回収し、免疫蛍光染色法およびフローサイトメトリー法で造血系細胞のマーカーの発現を検索し、再生骨髄での造血系幹細胞を確認した。3.eGFPマウス骨髄細胞をSHED移植マウスの尾静脈から投与し、。投与2週後に回収したSHED移植体を二次移植する。二次移植後4週で末梢血を回収し、eGFP陽性細胞の血中動態をフローサイトメトリー法で解析し、骨髄機能を営んでいる事を確認した。 以上の事から、乳歯幹細胞はエリスロポイエチン誘導性に造血作用をサポートすることが示された。
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