研究概要 |
アミロイドは、ある特定の構造を持つ水に溶けない繊維状のタンパク質である。タンパク質が正常に機能するためには折りたたみ構造をとるがこのアミロイドは、折りたたみがうまくいかず、異常な帯状のβシートを多く持った構造をとる。近年、Kolter Rらは、Bacillus subtilisのバイオフィルム形成においてTasAによるアミロイド線維がその付着因子として働き、グラム陽性菌のバイオフィルム形成に深く関わることが見出された。Streptococciにもアミロイドが存在し、それがバイオフィルム形成に関与している可能性が考えられた。本研究では、Streptococcus mutansのバイオフィルム形成にアミロイドが関わるか明らかにすることを目的とし検討を行った。昨年度の研究により、細胞壁の構成に関わるSMU482がアミロイド形成およびバイオフィルム形成に関わることを見出した。本年度は、解析する遺伝子の数を増やし、アミロイド形成に関わる遺伝子を検索した。Quorum seningに関わる遺伝子のcomC, comDm comE, comR, comX, comY, グルカン合成に関わる遺伝子のgtfC, gtfBC, その他のSMU484, SMU574, SMU737, SMU834, SMU1013, SMU1598, SMU1693, SMU2065の遺伝子変異株を用いて、コンゴーレッド染色によるアミロイドの観察を偏光顕微鏡を用いて行った。その結果、SMU574のコロニーの外側にアミロイドが存在することが存在することが見出された。しかし、SMU574の変異株は、バイオフィルム形成量が親株と変わりがなかった。アミロイド形成が必ずバイオフィルム形成に関わるとは限らないことが考えられた
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