研究課題
骨や関節の健全な維持には、骨形成と吸収のバランスが重要であるが、歯周病における歯槽骨の喪失や関節リウマチにおける骨破壊などの炎症性骨病態では、破骨細胞による骨吸収が過剰となり異常な骨量減少をきたす。このため、炎症性骨疾患の病態理解と新規治療剤の創出のためには、破骨細胞の分化・活性化機序や、これらに与える炎症環境の影響を解明することが重要である。本研究では、昨年度までに、(1) 破骨細胞分化因子 Receptor Activator of Nuclear Factor κ B ligand (RANKL) の刺激によって発現変化のある分子群を同定するとともに、(2) RANKL 受容体である Receptor Activator of Nuclear Factor κ B (RANK) 結合タンパク質群のプロテオミクス手法による解析、(3) 上記で同定された因子に関する、gain-of-function 実験や、loss-of-function 実験を行うことにより、破骨細胞前駆細胞内でそれらの因子がいかに機能しているのかについての詳細な検討を行い、一部の破骨細胞内の骨吸収関連マシナリーについては、その機能の一端を示すことができたため、本年度は、上記の解析を継続するとともに、解明されてきた分子群の機能について、システム生物学的アプローチを用いてさらに詳細な解析を加えた。また新たな試みとして、破骨細胞における炎症反応を惹起すると推測されるマスト細胞の炎症性変化についても、PCR アレイ法と新規 NF-κ B 阻害剤を組合せて用いることで、炎症性サイトカイン産生にかかわる上流経路や、マスト細胞の浸潤に関わる Matrix metalloproteinase-2 の発現誘導メカニズムについて明らかとし国際誌に報告を行った。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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