研究課題/領域番号 |
24659824
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 理行 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60294112)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | PTH / 骨芽細胞 |
研究概要 |
1. スクリーニングシステムの開発に必要な骨芽細胞株の決定 多くの骨芽細胞株あるいはその前駆細胞株では、PTHレセプターの発現が少ない、あるいはPTH刺激によりその発現低下するため、PTHの骨形成作用を的確に検討できない。またマウス初代骨芽細胞にPTHを持続的に作用させるとその石灰化は著しく抑制されることが報告されている。本研究で開発を目指すスクリーニングシステムの構築には、PTH刺激に的確な反応性を有する骨芽細胞株の選択と、適切なPTH刺激の条件の確立が不可欠である。そこでアリザリンレッド染色による石灰化を指標にしてPTHに反応する骨芽細胞株を探索した結果、SaOS細胞にPTHを2分処理した場合に強力に骨芽細胞への分化誘導されることを見出した。 2. PTH標的遺伝子の候補群の同定 SaOS細胞株を用いて、PTH処理群および非処理群からRNAを採取し、Microarray解析用のサンプルを調整し、Microarrayを実施した。得られたMicroarray解析のデータをゲノムデータベース、遺伝子疾患データベース、WISHデータベースなどのバイオインフォマティクス的情報と比較検討し、PTHの標的遺伝子候補群を絞り込んだ。またこれらPTH標的遺伝子候補の発現動態をリアルタイムPCRにて確認した。PTHの標的遺伝子として知られているRANKLの発現誘導も認めているので、本研究での解析の確実性は高いと判断される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度で予定していた、1)スクリーニングシステムの開発に必要な骨芽細胞株の決定、2)Microarray解析によるPTH標的遺伝子の同定に関して、所期の目的を果たす研究成果を得たので、本研究計画はおおむね良好に進展していると思われた。
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今後の研究の推進方策 |
1.Microarray解析により選択したPTH標的遺伝子の生物学的意義を検討する。具体的には、マウス初代骨芽細胞の分化過程におけるそれぞれの標的遺伝子の発現をリアルタイムPCR解析により検索し、骨芽細胞の分化との相互関連を検討する。骨芽細胞の分化は、Runx2、アルカリフォスファターゼ、Bsp、オステオカルシン、DMP1の発現および石灰化を指標に検索する。 2.当該プロモーター活性との相互関連の検討 Microarray解析により絞りこまれたPTHの標的遺伝子候補のプロモーター解析を実施し、得られた結果を動物細胞でのハイスループットアッセイの構築に活用する。 3.スクリーニングシステムの構築 上記で同定したPTH標的遺伝子のレポーター遺伝子にVenus標識したNeo遺伝子を組み込んだ後に、上記の実験1で選択した骨芽細胞株にトランスフェクションする。恒常的発現株の選択は、ネオマイシン耐性でVenusの蛍光強度を指標に実施する。次に、恒常的発現株クローンに、PTHを作用させ、ルシフェラーゼ活性の増加率を測定し、細胞株の有効性を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度でのリアルタイムPCR解析が、予算的に予定計画より順調に進んだため、使用予定の研究費用が若干、少なくなった。平成25年度にリアルタイムPCR解析を再確認する実験を設定し、当該費用を使用する。当初、平成25年度に予定していた研究費用は、当初の研究計画に充当する。
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