研究課題/領域番号 |
24659825
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姜 英男 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50177755)
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研究分担者 |
佐藤 元 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10432452)
齋藤 充 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (50347770)
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キーワード | 等尺性筋収縮 / 運動単位 / 序列動員 / 運動ニューロン / 三叉神経 / 閉口筋 / 光遺伝学 / チャネルロドプシン-2 |
研究概要 |
食物を噛みしめる時には閉口筋の長さが殆ど変化しない等尺性収縮が生じているが、それを制御する神経機構は未だ明らかではない。等尺性筋収縮は、運動ニューロンとその支配筋からなる運動単位が収縮力の小さいもの或いは運動ニューロンの軸索径の小さいものから順に序列動員されることにより実現される。こうした序列動員を引き起こす神経機構には、運動ニューロンに対する上位中枢からの入力及び筋紡錘感覚神経からの入力が関与すると想定されているが、その詳細は不明である。こうした二種類の入力系を活性化することにより三叉神経運動核咬筋領域にどの様な神経活動が生じるかを明らかにする必要があるが、入力系の選択的活性化は、刺激電極を用いた電気刺激の場合には周辺の通過線維やニューロンが無差別に活性化されるため神経線維や細胞が混在する脳においてはこれまで困難を極めてきた。そこで、本研究では分子生物学的手法により、三叉神経運動ニューロンに対し興奮性シナプスを形成する三叉神経中脳路核ニューロン軸索中枢枝等にチャネルロドプシン-2[ChR2;青色光(473nm)刺激に応答してNa(+)電流を生じ膜を脱分極させることが可能]を特異的に発現させた上で、光刺激によりその軸索に選択的に活動電位を発生させ、その結果運動ニューロンへ入力するシナプス電位を観察することを目指した。 ChR2の遺伝子を発現ベクターに組み込み、子宮内穿孔法を用いてマウス大脳皮質第2/3層錐体細胞に発現させること、蛍光タンパクを共発現させることで蛍光顕微鏡下で視覚的にChR2発現細胞を識別可能としたこと、そして青色光刺激により膜の脱分極を誘発することはできたが、三叉神経中脳路核ニューロン軸索中枢枝等の三叉神経運動核への入力線維にChR2を発現するまでに至らなかった。そこで、現在はChR2を発現するマウスの系統を理研から導入し、記録実験を開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子宮内穿孔法を用いて、大脳皮質錐体細胞にチャネルロドプシン-2を発現させ、光刺激により興奮を誘発することはできたが、三叉神経運動核への入力線維にチャネルロドプシン-2を発現することには成功しなかった。北米神経科学会に参加し調査した結果、チャネルロドプシン-2発現マウスを理研より導入することが妥当であるとの結論に達した。しかし、その手続きを完了するのに数か月を要し、実際の実験に着手するのが遅れた。現時点ではマウスの導入が完了し、記録実験を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
等尺性収縮時に見られるα運動ニューロンの序列動員の明確な神経機構は依然未解決である。極めて厳密な等尺性収縮を行うことが出来る咀嚼運動系は、この問題を解明するのに最も適した神経回路である。光刺激によって、入力系を選択的に活性化することが可能になれば、運動ニューロン動員の空間的拡がりを光学的に直接測定し、序列動員の時空間パターンを明確に記録できると期待される。また、サイズの原理の根幹をなす入力抵抗を決定する漏洩K(+)チャネルについての分子生物学的知見が近年急峻に蓄積されてきた現状で、運動ニューロン序列動員の神経機構を漏洩K(+)チャネルの働きの観点から明らかにする研究の学術的意義は極めて高く、その研究成果は、サイズの原理に従わない一部の運動系の一見矛盾する所見を統一的に解釈することを可能にし得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
子宮内穿孔法を用いて、大脳皮質錐体細胞にチャネルロドプシン-2(ChR2)を発現させ、光刺激により興奮を誘発することはできたが、三叉神経運動核への入力線維にChR2を発現することには成功しなかった。そのため、北米神経科学会に参加し調査した結果、ChR2発現マウスを理研より導入することが妥当であるとの結論に達した。しかし、その手続きを完了するのに数か月を要し、実際の実験に着手するのが遅れ、未使用額が発生した。 実験試薬:83万円,研究成果発表を行う学会への出張費用:10万円,研究成果を英文論文として発表するための英文校正・投稿・論文掲載費:20万円
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