研究課題
筋張力制御の基本機構として、Henneman(1985)により確立された「サイズの原理」として知られる運動ニューロンの序列動員が挙げられる。筋の等尺性収縮運動時には、運動ニューロンのサイズの小さいものから順に動員されると想定されている。これは、一定の興奮性シナプス電流に対し、入力抵抗の大きい小型運動ニューロンにはより大きなシナプス後電位が生じ、活動電位の閾膜電位により到達し易いためであると理解されている。しかし、どの入力により等尺性収縮が引き起こされるかは明らかではない。咀嚼運動においても、Ia感覚神経入力が、中枢パタン生成器からの入力とともに重要視されている。しかし、これまで、それらの入力系を選択的に活性化し、α運動ニューロンの序列動員を直接観察することに成功したという報告はない。マウス坐骨神経運動ニューロンにチャネルロドプシン-2を発現させた標本に光刺激を与えて序列動員を観察した報告がなされた(Michael et al., Nature Medicine, 2010)。そこで、本研究におて、チャネルロドプシン-2を運動ニューロンへのシナプス入力系に発現させて、Ia感覚神経入力と中枢パタン生成器からの入力のいずれが序列動員により寄与するかを明らかにすることを企画した。しかし、チャネルロドプシン-2の選択的発現を誘導する有力なプロモーターを見出すことができず、光刺激法によるデータを得ることはできなかった。その一方で、電気刺激法によるデータの蓄積が進み、Ia入力により序列動員が効率的に生じることをほぼ確定することができた。また、我々はTASK1が一酸化窒素により活性化されることを初めて報告したが、それとは対照的に、TASK3チャネルは一酸化窒素により抑制を受けることを明らかにした。この結果、序列動員のスピードが一酸化窒素の働きにより調節される可能性が明らかになった。
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