神経堤細胞は胚発生の過程で出現し、様々な種類の細胞に分化することが可能であり、成体においても一部は幹細胞としてその多分化能を維持している。これらの細胞を単離培養することができれば再生医療の有望な細胞ソースとして役立つと考えた。しかし、成体の殿組織に神経堤由来の細胞が存在するか詳細は不明であったため、神経堤由来細胞が蛍光タンパク質で標識されるように遺伝子を組み換えたマウスを用いて、新たな神経堤由来細胞の同定を試みた。その結果、上皮由来と考えられてきた頬粘膜や表皮などのケラチノサイトの一部が神経堤に由来することを発見した。これは上皮組織の細胞が再生医療の細胞ソースとして有用であることを示唆する。
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