研究課題/領域番号 |
24659834
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阪本 真弥 東北大学, 病院, 講師 (90157686)
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研究分担者 |
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80302157)
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノバブル / 超音波 / リンパ節転移 / 画像診断 / センチネルリンパ節 |
研究概要 |
近年、頭頸部がんではセンチネルリンパ節の生検による診断法が注目されているが、術前にセンチネルリンパ節や下流のリンパネットワークを同定し、微小転移を診断することは不可能であった。 本研究では、ナノバブルと高周波超音波を用いて術前に頭頸部癌のセンチネルリンパ節とその下流のリンパ流を可視化し、頸部リンパネットワークの全容を解明し、頭頸部癌の微細なリンパ節転移をリアルタイムに診断できる画像診断システムを開発することを目的とする。 これまで我々はヒトと同等の大きさのリンパ節腫脹を示すマウス、MRL/lprを用いたリンパ節転移モデルの画像診断法の開発における有用性を報告してきた。しかし、SLEのモデルでもあるMRL/lprは、リンパ節腫脹を示す4~5か月齢に致死的な腎炎を発症し、リンパ節転移実験には制限があった。連携研究者の森らは、約3か月齢で長径10mm程度のリンパ節腫大を発症するが腎炎の発症は軽度である近交系マウス、MXH10/lprを樹立した。本年度においては、このマウスのリンパ節転移モデルとしての有用性を検証した。MXH10/lprのリンパ節は全身で22種類同定でき、腸骨下リンパ節から腋窩リンパ節などの4か所でリンパルートを同定できた。また、ルシフェラーゼ発現乳癌細胞の腸骨下リンパ節内注射により、注射後2週間で腋窩リンパ節に転移病巣を形成した。この転移過程は、これまで我々が報告してきたナノバブルと高周波超音波を用いた画像解析法や生体発光イメージング装置によりリアルタイムで画像として描出することができた。このリンパ節転移モデルは、ヒトと同等の大きさのリンパ節内で転移病巣の形成をタイムゼロからリアルタイムで捉えることが可能であり、リンパ節転移のメカニズムの解明や新たな診断・治療法の開発に極めて有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトと同等のリンパ節腫脹を示すMXH10/ lpr系マウスのリンパ節の分布や主たるリンパネットワークを明らかにすることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトと同等のリンパ節腫脹を示すMXH10/ lpr系マウスを用いて、さらに細かなリンパネットワークの解明を目指す。さらに、ナノバブルと超音波を用いた画像診断法の前臨床試験を想定した検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、研究グループが樹立したリンパ節腫脹近交系マウスを用い、腸骨下リンパ節から腋下リンパ節へリンパ管を介して腫瘍細胞が転移するの転移モデルマウス作製の成功率が当初計画していたより低かったために生じたものである。延期したモデルマウス作製の成功率を得ることができるように、実験手技・方法を確実にするのに必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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