研究課題/領域番号 |
24659834
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
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研究分担者 |
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80302157)
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
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キーワード | ナノバブル / 超音波 / リンパ節 / 画像解析 |
研究概要 |
1)我々が開発した恒常的にヒトのリンパ節と同等の大きさ(長径約10㎜)の腫脹リンパ節を有するMXH10/Mo-lpr/lprの系統維持・繁殖を行い、リンパ節腫脹マウスモデルとして使用した。 2)MXH10/Mo-lpr/lprマウスのリンパ節にルシフェラーゼタンパクを発現する腫瘍細胞を接種した。当初、腫瘍細胞接種のリンパ節として、頸部リンパ節を用いて実験を行ったが、腫大リンパ節が多数集簇し、センチネルリンパ節から下流のリンパ節への転移の同定が難しかった。そこで、我々が転移マウスモデルとして確立した方法論を本研究に用いることにした。すなわち、センチネルリンパ節として腸骨下リンパ節に腫瘍細胞を接種したところ、約4日後に腸骨下リンパ節に固形腫瘍が生着し、約1週間後に腋窩リンパ節への転移が確認できた。繰り返しの実験から、転移リンパ節のマウスモデルが安定して作製できることが明らかとなった。 3)腸骨下リンパ節および腋窩リンパ節で腫瘍が増大していく経時的な変化を生体発光イメージングシステムを用いて調べた。マウスにルシフェリンを腹腔内注射し、ルシフェラーゼ発光強度の評価を継時的に行った結果、細胞接種後に、ルシフェラーゼ活性が腸骨下リンパ節および腋窩リンパ節で上昇していく過程をとらえることができた。 4)腸骨下リンパ節および腋窩リンパ節を摘出し、HE染色して病理組織学的に検討した結果、約4日後以降、どちらのリンパ節にも腫瘍細胞が確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ナノバブルと高周波超音波装置を用いて、術前にセンチネルリンパ節とその下流のリンパ流を可視化し、がんの微細なリンパ節転移をリアルタイムに診断できる画像診断システムを開発することを目的とする。 本研究はすでに我々が樹立した転移マウスモデルの方法論を頸部リンパ節に用いる予定であった。しかし、転移のルシフェラーゼタンパクを発現する腫瘍細胞をMXH10/Mo-lpr/lprマウスの頸部リンパ節に接種したところ、腫大したリンパ節が多数集簇しており、センチネルリンパ節と転移リンパ節の同定が難しかった。そこで、センチネルリンパ節として腸骨下リンパ節に腫瘍細胞を接種し、腸骨下リンパ節に固形腫瘍が生着した後、腋窩リンパ節へ転移することを再度確認し、今後の研究に使用するモデルとして確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
転移モデルマウスの左心室に造影剤を注入後、灌流を行い、腸骨下リンパ節、腋窩リンパ節を摘出し、それぞれのリンパ節の造影マイクロCT画像を撮影する。リンパ節の血流の評価に適切な造影マイクロCT画像の撮影条件を詳細に検討する。 摘出したリンパ節の凍結ブロックから凍結切片を作成し、腫瘍細胞と血管内皮細胞を病理組織学的に観察する。転移モデルマウスの造影マイクロCT像と病理組織像を比較検討し、リンパ節ネットワークを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費が予算よりはるかに多くかかったため、実験助手を雇用せずに研究分担者で研究を進めた。結果的に8万円ほどの次年度使用額が生じた。 最終年度のため、成果発表などに次年度使用額を充てる。
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