研究課題/領域番号 |
24659835
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康男 東北大学, 歯学研究科(研究院), 技術補佐員 (50005039)
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研究分担者 |
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10241639)
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30400261)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アレルギー / レジン / 金属 / 感染 / 炎症 / ニッケル / ハイドロキノン |
研究概要 |
背景・目的 : レジンによるアレルギーの発症機序は不明で,最大の理由は,動物モデルの作製が難しいからである.既知のハプテンに比べ,RMのアレルゲンとしての強さは極めて弱い.私達はマウスモデル作成に取り組んできたが,成功せず,以下の疑問をもつに至った.1. RMはアレルゲンではなく,実際は,他の物質によるアレルギーのアジュバント(促進剤)として作用するのではないか? 2. 市販RMに含まれるRM以外の物質がアレルゲンになるのではないか? この2点について以下の結果を得た. 結果: (1)RMのアジュバント効果:アレルギー成立にはsensitization (S) と elicitation (E) の2つの段階がある.私達は菌体成分のLPSをアジュバントとする金属アレルギーのマウスモデルに成功している.ニッケル(Ni)を用いこれまでの研究で,RMの2 -hydroxyethyl methacrylate (HEMA) とmethyl methacrylate (MMA) は,LPSと同様に,NiアレルギーのSとEの両ステップでアジュバントとして作用することを見いだした.(2)市販RMに含まれるハイドロキノン (HQ, RM重合防止剤として汎用) によるアレルギー:HQはRMの重合防止剤として広く用いられている.私達は,HQが容易にマウスでアレルギーを発症させることを見いだし,また,検討中であるが,RMがHQアレルギーのアジュバントとして作用することも見いだした.RMはoxazolone (広く使われるハプテン抗原) によるアレルギーも促進した. 考察:以上の結果は, “従来RMによると考えられてきたアレルギーには,RM以外の抗原 (金属やHQなど) とそれらに対するRMのアジュバント効果で発症したアレルギーが含まれている” 可能性を強く示唆する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RMとアレルギーの関係について上述の知見が得られ,研究はほぼ予定通りに進行している.
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今後の研究の推進方策 |
1.前述の結果を2つの論文として投稿する. 2.RM+HQによるアレルギーおよびLPS+Niによるアレルギーに関与する細胞と分子の検討 (a) 炎症部位に存在する細胞の解析 (b) 突然変異マウスや遺伝子組み換えマウスを用いた検討 (c) 細胞移入実験による検討 (d) 特定の細胞に対汁抗体を用いた細胞枯渇実験
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次年度の研究費の使用計画 |
レジンそのものによるアレルギーモデルの作成にはなお成功していない.次年度は,この点について,実験条件をか変えて,また,使用マウスの系統の検討も含めて検討する.
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