研究課題/領域番号 |
24659840
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30264055)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周病細菌 |
研究概要 |
初年度として、予備実験としてヒト大動脈内皮細胞を用いたin vitro解析で多光子励起顕微鏡観察を行った。次にマウス個体を用いたバイオイメージング解析として、動脈硬化モデルマウスによる多光子励起顕微鏡観察および高感度近赤外トモグラフィー解析により、血管あるいは心臓への歯周病菌の付着に関してバイオイメージング解析を行った。 1:培養細胞を用いたin vitro解析:我々はすでにヒト大動脈内皮細胞を用いた培養細胞を用いて多くのデータ―を得ている(Yamatake et al. Infect. Immun. 2007)。予備実験として、過去の成績と合わせてリポーター実験を行った。具体的方法としては、緑色発色するGFPを発現させたP.gingivalisを作製し、これを対象にしてTexasRedを結合した高分子デキストラン(70 kDa)を前処理してすることにより大動脈内皮細胞を赤色に蛍光ラベルした。この実験は行なっている。 2:マウスによる多光子励起顕微鏡観察:正常マウスに対して2か月間高脂肪食を与えることで動脈硬化を誘導した。その後、背部を脱毛処理し、背部皮内注射によりGFP―P.gingivalisを静脈注射した。他方、TexasRedを結合した高分子デキストラン(70 kDa)を静脈注射することにより毛細血管を赤色に蛍光ラベルした。その後、時間経過と共に、多光子励起顕微鏡観察を行った。なお、本実験で行うGFPの励起波長は近赤外領域に当たるが、生体への近赤外領吸収効率は低いため、励起光の深部到達性も高く、共焦点顕微鏡を用いた場合に生じる浅層部での蛍光色素の自己遮蔽効果が回避できるため、標本深部でも十分な励起光強度を確保できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、初期検討は既に完了している。しかし、予定より遅れているのは、緑色発色するGFPを発現させたP.gingivalisの作製である。現在、発現プラスミドは、作製を完了している。今後、発現条件を検討する。万が一うまくいかない場合の策として、カルセインを用いた蛍光発光を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
1.動脈硬化マウスによる高感度近赤外トモグラフィー解析 上記と同じように、正常マウスおよびApoE欠損マウスに対して、高脂肪食投与により、動脈硬化を誘導する。その後、尾静脈注射によりGFP―P.gingivalisを注射し、時間経過とともに集積臓器を観察する。 2.歯周病菌と相互作用する血液細胞・因子の同定 本実験から野生型マウスは用いない。高脂肪食投与のマウスに対して、動脈硬化を誘導する。脱毛処理し、GFP―P.gingivalisを背部皮内注射する。その後時間経過と共に、白血球のそれぞれのTexasRed結合抗体を用いて、好中球、マクロファージ、ヘルパーT細胞などを特異的マーカー抗体にて染色後、多光子励起顕微鏡観察を行う。この観察により、生体内でどの白血球と相互作用するのかが観察できる。相互作用する細胞が同定できれば、さらにどのようなタンパク質あるいは分子により結合できるのかを検討する。これには、すべてのタンパク質の抗体で実験することは不可能である。従って、受容体などの可能性を考えて、すべての糖たんぱく質に結合できるレクチンを赤色蛍光でラベルし、相互作用を観察する。これは上記の結果によって、実験計画を臨機応変に対応する必要がある
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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