• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

転写抑制因子としてのSPARCの癌転移への役割

研究課題

研究課題/領域番号 24659842
研究機関奥羽大学

研究代表者

加藤 靖正  奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)

キーワードSPARC / 転写調節
研究概要

SPARCは、マトリセルラープロテインに属す酸性糖蛋白質である。SPARC knockout (KO)マウスにおいて、B16-BL6メラノーマ細胞の肺転移は、SPARC KOマウスにおいて抑制されることを見出している。私達は、肺に発現している遺伝子が肺転移に関与しているとの仮説をたて、マイクロアレイにより検討したところ、3系統のSPARC KOマウスの肺に共通してCamp (cathericidin antimicrobial peptideの1つ)、 Ngp (neutrophilic granule protein)、Saa3 (serum amyloid A3)の遺伝子発現が、上昇していることを見出した。そこでSPARCのシグナルペプチドを欠失させ、細胞内で発現するベクターとSPARCのシグナル配列の代わりにトリプシノーゲンのシグナル配列に置換した分泌型SPARCを発現するベクターを構築してB16BL6メラノーマに導入し影響を調べた。細胞外SPARC発現ベクター導入細胞では、Ngp 発現が抑制されたがSaa3発現には影響しなかった。細胞内SPARCを発現させると、Ngp 発現には影響せずにSaa3の発現上昇が見られた。Campについては両ベクターの影響を受けなかった。一方、標的部位の異なるSPARC siRNAを構築し、これらの3遺伝子の発現について検討したところ、短鎖のSPARC(Mouse p2-4)とwild typeの両方をノックダウンできるsiRNAによってNgp発現が上昇し、Mouse p2-4はノックダウンできないSPARC siRNAでは、CampとSaa3の発現を上昇させたが、Ngp発現には影響しなかった。これらのことは、各遺伝子に対する発現制御はSPARCのプロセッシングに依存し細胞内でmRNAの発現制御に関与することを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

転写制御する因子としてターゲットとなる転写因子の候補の選定がクローニングなどの理由により遅延している。

今後の研究の推進方策

SPARCのノックダウンする時に構築した、2種類のSPARCのsiRNAを構築してみると、両者のSPARCノックアウトの効率は同等であるのにもかかわらず、NGPとそれ以外のCampとSaa3の発現誘導パターンが異なっていることを見出した。また、単鎖のSPARCの発現が報告されており、この遺伝子は一方のsiRNAでは標的となるが、もう一方のsiRNAからは標的になりえないことが分かった。この違いについて推進していく。

次年度の研究費の使用計画

SPARCノックアウトマウスの系統維持を理化学研究所に寄託手続きを行った為、維持費の支出予定額が低くなったため。
抗体の購入等に有効に活用する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Acidic extracellular microenvironment and cancer2013

    • 著者名/発表者名
      Kato Y, Ozawa S, Miyamoto C, Maehata Y, Suzuki A, Maeda T, Baba Y
    • 雑誌名

      Cancer Cell International

      巻: 13 ページ: 89

    • DOI

      10.1186/1475-2867-13-89

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Levocetirizine Hydrochloride Tablet Improves the Nasal Conditions of Patients with Cedar Pollen Allergy and Maintains their QOL2013

    • 著者名/発表者名
      Baba Y, Yoshihama K, Nishiyama T, Kato Y.
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Medical Sciences

      巻: 2013 ページ: 329-341

    • DOI

      10.12988/cems

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vocal Cord Actinomycosis Mimicking a Laryngeal Tumor2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshihama K, Kato Y, Baba Y.
    • 雑誌名

      Case Reports in Otolaryngology

      巻: 361986 ページ: 1-2

    • DOI

      10.1155/2013/361986

  • [学会発表] 酸性細胞外pHは,がん細胞の悪性形質を促進する微小環境因子である2014

    • 著者名/発表者名
      加藤靖正
    • 学会等名
      アクリジンオレンジ研究会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20140125-20140125
    • 招待講演
  • [学会発表] Tumor-Suppressing Chemokine CXCL14/BRAK Is a Cell-Surface Associated Matrix Component2013

    • 著者名/発表者名
      Hata RI, Izukuri K, and Kato Y.
    • 学会等名
      9th Pan Pacific Connective Tissue Societies Symposium (9th PPCTSS)
    • 発表場所
      Hong Kong
    • 年月日
      20131124-20131127
  • [学会発表] Adaptation to acidic extracellular pH induces epithelial-mesenchymal transition as stable phenotype in Lewis lung carcinoma model2013

    • 著者名/発表者名
      Kato, Y. 1, Suzuki, A. 1, Maeda, T. 1, and Baba, Y.
    • 学会等名
      The 4th Annual Meeting of the International Society for Proton Dynamics in Cancer (ISPDC)
    • 発表場所
      Munich, Germany
    • 年月日
      20131010-20131012
  • [学会発表] 腫瘍の悪性形質に対する酸性細胞外pHの急性および慢性影響2013

    • 著者名/発表者名
      加藤靖正
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20131003-20131005
  • [学会発表] ケモカインCXCL14/BRAKは多段階癌抑制分子である2013

    • 著者名/発表者名
      畑隆一郎,居作 和人,加藤靖正
    • 学会等名
      第55回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20130920-20130922
  • [学会発表] 酸性細胞外pHへの順化は,酸性細胞外pH刺激の感受性を増加し,MMP9の産生能と運動能を促進する2013

    • 著者名/発表者名
      加藤靖正,鈴木厚子,前田豊信
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] 癌に強くなる遺伝子の発見2013

    • 著者名/発表者名
      畑隆一郎,居作和人,加藤靖正、佐々木宗一郎、向田直史
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] 上皮間葉系移行における酸性細胞外pHの急性影響と慢性影響2013

    • 著者名/発表者名
      加藤靖正
    • 学会等名
      第22回日本がん転移学会学術集会・総会
    • 発表場所
      松本
    • 年月日
      20130711-20130712
  • [学会発表] PubMedを過信してはいけない2013

    • 著者名/発表者名
      畑隆一郎, 居作和人, 加藤靖正
    • 学会等名
      第45回日本結合組織学会学術大会・第60回マトリックス研究会合同学術大会
    • 発表場所
      和歌山
    • 年月日
      20130628-20130629

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi