研究課題/領域番号 |
24659842
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
加藤 靖正 奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)
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キーワード | SPARC / 転写調節 |
研究概要 |
SPARCは、マトリセルラープロテインに属す酸性糖蛋白質である。SPARC knockout (KO)マウスにおいて、B16-BL6メラノーマ細胞の肺転移は、SPARC KOマウスにおいて抑制されることを見出している。私達は、肺に発現している遺伝子が肺転移に関与しているとの仮説をたて、マイクロアレイにより検討したところ、3系統のSPARC KOマウスの肺に共通してCamp (cathericidin antimicrobial peptideの1つ)、 Ngp (neutrophilic granule protein)、Saa3 (serum amyloid A3)の遺伝子発現が、上昇していることを見出した。そこでSPARCのシグナルペプチドを欠失させ、細胞内で発現するベクターとSPARCのシグナル配列の代わりにトリプシノーゲンのシグナル配列に置換した分泌型SPARCを発現するベクターを構築してB16BL6メラノーマに導入し影響を調べた。細胞外SPARC発現ベクター導入細胞では、Ngp 発現が抑制されたがSaa3発現には影響しなかった。細胞内SPARCを発現させると、Ngp 発現には影響せずにSaa3の発現上昇が見られた。Campについては両ベクターの影響を受けなかった。一方、標的部位の異なるSPARC siRNAを構築し、これらの3遺伝子の発現について検討したところ、短鎖のSPARC(Mouse p2-4)とwild typeの両方をノックダウンできるsiRNAによってNgp発現が上昇し、Mouse p2-4はノックダウンできないSPARC siRNAでは、CampとSaa3の発現を上昇させたが、Ngp発現には影響しなかった。これらのことは、各遺伝子に対する発現制御はSPARCのプロセッシングに依存し細胞内でmRNAの発現制御に関与することを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
転写制御する因子としてターゲットとなる転写因子の候補の選定がクローニングなどの理由により遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
SPARCのノックダウンする時に構築した、2種類のSPARCのsiRNAを構築してみると、両者のSPARCノックアウトの効率は同等であるのにもかかわらず、NGPとそれ以外のCampとSaa3の発現誘導パターンが異なっていることを見出した。また、単鎖のSPARCの発現が報告されており、この遺伝子は一方のsiRNAでは標的となるが、もう一方のsiRNAからは標的になりえないことが分かった。この違いについて推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
SPARCノックアウトマウスの系統維持を理化学研究所に寄託手続きを行った為、維持費の支出予定額が低くなったため。 抗体の購入等に有効に活用する。
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