研究課題
SPARCは,マトリセルラープロテインである.これまでにマウスの3系統のSPARCのノックアウト(KO)マウス肺に共通して発現が上昇している遺伝子として,CAMP,NGP,SAA3を同定していたので,今年度はCRISPER/Cas9システムによるゲノム編集によりB16BL6メラノーマ細胞からSPARC遺伝子をKOした細胞を作製し,その効果の普遍性を検討した.その結果,KOマウスの肺同様にCAMP,NGP,SAA3遺伝子の発現上昇が確認され,さらにMMP3やMMP9発現も上昇することも見出された.これらの遺伝子発現には,AP-1の関与が重要なので,構成因子であるc-Fosやc-Junの発現を調べてみると,SPARC KO細胞では,ホルボルエステル刺激でc-Fosやc-Jun発現が顕著に上昇することを見出した.さらに別の系として骨髄ストローマ細胞であるST2細胞を用いて,SPARCをKOするとホルボルエステル刺激でAP-1活性が上昇することが見出された.一方,SPARCは分泌蛋白質であるが,細胞内で作用している可能性を考え,SPARCをKOしたB16-BL6細胞にシグナル配列の異なるSPARC発現ベクター構築し,安定細胞株を得た.すなわち,シグナル配列を欠失したSPARC delta signal vector,トリプシノーゲンのシグナル配列に置換した SPARC PPT-signal vector,ワイルドタイプのシグナル配列を有したSPARC WT-signal vectorである.その結果,SPARC PPT-signalベクター導入株とSPARC WT-signalベクター導入株で細胞内局在が酷似していた.このことは,SPARCの細胞内作用を強く示唆するものである.従って,SPARCは,AP-1の活性を制御する細胞内因子であることが示唆された.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件)
Bone Reports
巻: 2 ページ: 36-43
10.1016/j.bonr.2015.03.003
Scientific Reports
巻: 5 ページ: -
10.1038/srep09083
BioMed Research International
巻: 2015 ページ: -
10.1155/2015/657179
奥羽大学歯学誌
巻: 41 ページ: 123-128
Cancer Cell International
巻: 14 ページ: -
10.1186/s12935-014-0129-1