研究概要 |
本研究では, 界面活性剤により脱細胞化した歯髄組織の細胞外マトリックスを精製した後, 歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を用いて, 歯髄組織の再細胞化(歯髄再生)の効率について生化学的手法を用いて基礎的検討を行う. さらに, ラットを用いたin vivoにおいて, 摘出した歯牙を基盤鋳型として, 再細胞化した歯髄組織の再生を観察する. 平成24年度の具体的到達目標は, 摘出したラットの歯牙に界面活性剤を灌流して, 歯髄由来の脱細胞化した細胞外マトリックスを作成し, 歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を用いて歯髄組織の再細胞化の効率と適正条件を生化学的手法を用いて検討することであり, 以下の結果を得た. 歯髄脱細胞化細胞外マトリックス (ddpm) の精製:8週齢の雄性Wister系ラットの歯牙(前歯)を顎骨ごと摘出し, 0.1% SDSを灌流した後, エタノールを用いてSDSの洗い流しを行い, 歯髄由来の脱細胞化細胞外マトリックスを回収・精製を行なった. 精製したddpm上に歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を播種し, 細胞生育性, 細胞接着性および細胞運動能について適正条件の検討: 0.1% SDS-ddpm上に歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を播種し, 7日間培養後, 細胞生育性, 細胞接着性および細胞運動能について検討を行った結果, 統計学的有意な細胞生育性, 細胞接着性および細胞運動能が観察された. ddpmの石灰化能の検討: 0.1% SDS-ddpm上に歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を播種し, 7日間培養後, ALP染色とアリザリンレッド染色によりddpmの石灰化能を観察した結果, 統計学的有意な石灰化能を有していることが明らかとなった.
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