研究概要 |
本研究では, 界面活性剤により脱細胞化した歯髄組織の細胞外マトリックスを精製した後, 歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を用いて, 歯髄組織の再細胞化(歯髄再生)の効率について生化学的手法を用いて基礎的検討を行う. さらに, ラットを用いたin vivoにおいて, 摘出した歯牙を基盤鋳型として, 再細胞化した歯髄組織の再生を観察することで, 従来の歯髄保存治療であるう蝕治療法や覆髄法に代わる新規な歯髄再生モデルを構築することを研究目的とする. 平成25年度の具体的到達目標は, 抽出精製した歯髄由来の脱細胞化した細胞外マトリックスと歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を用いて歯髄組織への分化メカニズムについて生化学的手法を用いて検討すること, さらに摘出した歯を基盤鋳型として歯髄組織の再細胞化(歯髄再生)を組織学的に検討するであり, 以下の結果を得た. 抽出精製した歯髄脱細胞化細胞外マトリックス (ddpm) 上に歯髄細胞, 骨格筋幹細胞, ES細胞とiPS細胞を播種し, 経時的に total RNAを抽出し, 神経堤細胞マーカー(FoxD3, Sox10), 神経前駆細胞マーカー(Notch-1, Nestin), 象牙芽細胞分化マーカー(DSPP, Enamelysin(MMP-20)), 血管内皮細胞マーカー(Flk-1, VE-cadherin)といった歯髄細胞マーカーの遺伝子発現動態をReal Time-PCR法を用いて観察した結果, 歯髄細胞分化マーカーの発現が統計学的有意に観察された. さらに, 象牙芽細胞分化マーカー(DSP) の発現動態を免疫染色法を用いて観察した結果, DSP陽性細胞が統計学的有意に観察された.
|