研究課題/領域番号 |
24659859
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野 高裕 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30204241)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 嚥下 / 喉頭 / 舌 / センサ / 嚥下障害 |
研究概要 |
今年度は、基本的な実験系を確立し、以下の知見を得た。 1.自覚的,他覚的ともに摂食・嚥下機能に問題を認めない健常成人男性6名(平均年齢31.7±10.6歳)とし,座位における5mlの水嚥下を各被験者6回ずつ行ない,VFおよび喉頭運動の同時記録を行なった.波形分析とVFイベントとの比較より,屈曲センサから得られた波形上の基準点を用いて嚥下咽頭期における重要なイベント(舌骨の急速な挙上開始、舌骨の最上前方位、舌骨の復位等)のタイミングを把握し得る可能が示唆された. 2.自覚的、他覚的ともに摂食・嚥下機能に問題を認めない健常成人男性14名(平均年齢27.0±2.2歳)とし、座位における5mlの水嚥下を各被験者5回ずつ行なって、舌圧、喉頭運動、嚥下音の同時計測を行った。各信号を同期させ、嚥下音のpeakを0sと定義した時系列上で解析を行った。その結果、嚥下初期の舌骨・喉頭の小さな動きは口腔期の開始と関連していること口腔期において後方部のCh.4,5まで強固な舌のアンカーが確立することが、咽頭期の開始、すなわち喉頭の上方への急速な拳上と関係が深いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、VFと喉頭運動の同時計測により、喉頭運動の波形上の標点とVF上の嚥下イベントとの関連性が高い一致度を有していることが確認できた(論文投稿中)。 次に、当初予定していた舌圧・喉頭運動同時計測システムの構築が順調に達成され、嚥下時の舌運動と喉頭運動の協調性が定量的に評価できることが確認できた(論文準備中)。 以上の結果により、次年度において、食塊量、食塊性状、嚥下時姿勢の嚥下運動に対する影響を解析する基盤が構築された。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、嚥下運動に影響する因子として報告されている食塊量、食塊性状、嚥下時姿勢の影響が本システムで検出可能かを検討する。 食塊としては、液体、トロミ液体、ゼリーとし、量は5ml、10ml、15mlの3種類、姿勢としては90°座位、60°ギャッジ、30°ギャッジの3種類を予定し、健常若年者(ボランティア)20名を対象に、これらの条件での嚥下運動記録を各5回ランダムに行って、前年度に確定した時系列上のパラメータの変化について検討する。次に、その結果と、VFを用いた先行研究において報告されている結果とを比較することによって、本システムの信頼性を検証する。健常者における有効性が検証できれば、次の段階として嚥下障害患者における誤嚥の検出精度の研究に進むことができると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は最終年度のため、計測に必要な物品の購入と共に、成果発表のために予算を計上する。 物品費:舌圧センサシート、喉頭運動センサ等の購入に50万円の計上を予定。 旅費:欧州嚥下障害学会(ESSD)または国際嚥下障害研究会(DRS)、ならびに国内での成果発表に70万円の計上を予定。 その他:論文作成(英文翻訳、校正等)に30万円の計上を予定。
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