研究課題/領域番号 |
24659861
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石川 邦夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90202952)
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キーワード | リン酸三カルシウム / セメント / 多孔体 / 連通気孔 / リン酸水素カルシウム / 生体吸収性 |
研究概要 |
本研究の目的は①骨欠損部で硬化性を示すこと、②硬化体の組成の全てが、骨に置換される組成であること、③硬化体の構造が、骨への迅速な置換のために細胞が硬化体内部にまで侵入できる完全連通多孔構造を示すこと、の全てを満足するリン酸三カルシウムフォームセメント創製の可能性を検討することである。本年度は研究計画の二年目にあたり、硬化体の組成および構造の検討、動物実験による有用性の検討を行った。 顆粒部としてはMgOを添加することにより安定化させたβ型リン酸三カルシウム顆粒とした。練和液として第一リン酸水素カルシウム-リン酸溶液を用いた。顆粒部を練和液で練和すると硬化すること、硬化体は表層部がコア部を被覆している構造であり、コア部の組成はβ型リン酸三カルシウム、表層部の組成はリン酸水素カルシウムであることを確認した。 硬化体が示す組織親和性を検討するためにラットに作成した骨欠損部をリン酸三カルシウムフォームセメントで再建した。リン酸三カルシウムフォームセメントは骨欠損部でも硬化性を示した。また、埋入1週間目までに著明な炎症反応は認められなかった。より詳細な検索が必要であるが、リン酸三カルシウムフォームセメントは骨置換型のセメントとなる可能性が高いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
硬化体の組成や構造の確認が終了していること、ラットに作成した骨欠損部をリン酸三カルシウムフォームセメントで再建していることから概ね順調に計画は進展していると思われるが、病理組織学的な検索が終了していないため早期の実施が望まれる。
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今後の研究の推進方策 |
骨置換材とされるβ型リン酸三カルシウムの硬化が確認されたため、リン酸三カルシウムフォームセメントの有用性をさらに検討する。まず、ラットに埋入したリン酸三カルシウムフォームセメントの病理組織学的検索を行い、当該結果にもとづき、さらに改良を重ねる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の遂行に必須なリン酸三カルシウムフォームセメントの硬化反応の挙動の検討において硬化反応が早すぎて制御する方法を検討する必要が発生したため研究遂行の実施が遅れた。リン酸三カルシウムフォームと酸性溶液の反応を多面的に検討するために時間が必要であったが鋭意検討した結果、解決法を見いだすことができた。その間は研究の遂行速度が遅くなったために未使用額が発生した。 本研究はリン酸三カルシウムフォームの創製を目的としている。昨年度において未使用額が発生した理由はリン酸三カルシウムフォームセメントの硬化反応の挙動の検討に予想以上の時間を要したためである。今年度においては、リン酸三カルシウムフォームセメントの硬化反応の挙動の検討結果を基盤として以降の研究を遂行する。
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