研究課題/領域番号 |
24659862
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
都留 寛治 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50314654)
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キーワード | 生体材料 / 骨補填材 / アパタイト / 超臨界二酸化炭素 |
研究概要 |
本研究では,骨欠損形態に適合可能な比較的大きな炭酸アパタイトブロックの調製に必要な炭酸カルシウム前駆体,あるいは高強度炭酸アパタイトブロックの調製に必要な高強度炭酸カルシウム前駆体を超臨界二酸化炭素と水酸化カルシウム圧粉体の反応で調製し,調製された炭酸カルシウム圧粉体から溶解-析出型反応で調製された炭酸アパタイトブロックの有用性を細胞および実験動物で探索することを目的としています。 前年度に引き続き,本年度は超臨界二酸化炭素を用いた水酸化カルシウム圧粉体の炭酸化条件について調査を行いました。当初予定していた条件では思うように炭酸化が進まなかったため,水酸化カルシウム圧粉体の炭酸化に及ぼす種々の実験条件の影響について基礎的に調査を行いました。鋭意検討した結果,合成チャンバー内への微量の水の添加が,水酸化カルシウム圧粉体の炭酸化に極めて有効であるということを現在までに見出しています。また,この手法で得られた炭酸カルシウム圧粉体を前駆体として,リン酸化処理を行うことによって,炭酸カルシウムから炭酸アパタイトへの組成変換が生じ,炭酸アパタイトブロックが得られることも確認しております。 この方法は,室温で炭酸ガス雰囲気に試料を暴露する従来法に比べて,比較的大きなサイズの試料を短時間で炭酸化することが可能であるため,新しい炭酸アパタイト骨補填材の作製法として有効な手段になり得ることが期待されます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超臨界二酸化炭素を用いた水酸化カルシウム圧粉体の炭酸化において,微量添加水の影響が有効であることが新たに判明しました。従いまして,この条件を加味した上で,さらなる炭酸化率の向上を目指し,その影響を調査することに注力したために,生体組織適合性の評価について当初の計画に比べ進行がやや遅れています。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に比べ進行が遅れているものの,現在までに,目的とする炭酸アパタイトブロック試料が得られることは既に確認済みです。従いまして,1年の延長によって,当初計画していた生体組織適合性評価の成果を仕上げることができる見通しです。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予期できなかった理由によって,超臨界二酸化炭素を用いた手法による炭酸アパタイトブロックの試料作製が遅れたことにより,生体組織適合性の評価を次年度に行う必要性が生じたことが次年度使用額が発生した理由です。 炭酸アパタイトブロックの調製に必要な試薬および器具の購入や生体組織適合性評価を行う上で必要な試薬および器具の購入に充てる予定です。さらに,本実験を推進するために必要な学生アルバイトを雇用します。本研究の成果発表に必要な旅費を捻出する計画も立てています。
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