研究課題
抜歯後の歯槽骨(顎骨歯槽突起)や移植骨、GBR 等で造成された歯科インプラント支持組織は、おそらく廃用性萎縮に似たメカニズムで術後吸収を起こすことが知られている。一方で軌道上の宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、同じく廃用性萎縮に似た現象として、重力の物理刺激が失われると骨量が減少することが知られているが、そのメカニズムについては明らかではない。そこで、本研究の目的は、生理的な術後骨吸収に密接に関わっている『口腔組織を形成する細胞』と『物理刺激』に焦点を当て、人工無重力装置を用いていわゆるメカノバイオロジーによる研究デザイニングによりインプラント周囲支持組織吸収メカニズムの一端を解明することとした。マウス由来歯肉上皮細胞株GE1をFBSおよびEGFを添加したSMF101培地中にて、至適温度33℃、5%CO₂環境下で培養した。コントロール群(以下1G群)、微小重力環境群(以下CL群)において細胞濃度0.7×10⁴cellsで12.5T組織培養フラスコにGE1細胞を播種し、細胞がフラスコ底面に接着後(約8時間後)、CL群を3次元重力分散型模擬微小重力装置(3-Dクリノスタット)に搭載した。10日間継続培養し、0、3、5、7、10日後に各群3サンプルずつサンプリングした。サンプリング時に培養容器ごとに細胞数をカウントし、Isogenを用いてRNA抽出した。その結果、CL群では1G群と比較して細胞数の増加率が約半分に抑えられる傾向が示された。また、1G群では細胞が平面的に観察されるのに対し、CL群では細胞境界の明瞭化が観察され、異なる細胞形態を示した。また、マイクロアレイを用いてmRNA発現の網羅的解析を行ったところ、数種の生体機能分子について発現の亢進がみられ、その詳細について検討を加えている。
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International Journal of Prosthodontics & Restorative Dentistry
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Journal of Prosthodontic Research
巻: 82 ページ: 1498-503
10.1016/j.jpor.2012.11.001