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2012 年度 実施状況報告書

歯髄幹細胞及びiPS細胞の多分化能維持におけるALPの機能解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 24659866
研究機関北海道大学

研究代表者

鈴木 邦明  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40133748)

研究分担者 柴田 敏之  岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50226172)
出山 義昭  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80271667)
飯田 一規  岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (30585237)
玉置 也剛  岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (40585303)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードアルカリ性ホスファターゼ / 歯髄幹細胞 / iPS細胞 / 多分化能 / 酵素阻害剤 / 酵素基質
研究概要

1.岐阜大学の柴田研究室では、新たに約50ラインのヒト歯髄由来幹細胞を樹立して幹細胞性と分化能に関する検討を行った。
2.iPS細胞作成に使用した、lining cell, original cell及び作成されたiPS細胞を使用して、それぞれの細胞破砕物を作成してアルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性を測定した。lining cell及び original cellの破砕物からはALP活性は検出されなかったがiPS化するとALP活性が検出されtetramizoleによって濃度依存的に阻害されることから、ALPは臓器非特異型の特徴を示した。細胞の初期化によってALP活性が発現することと、そのALPのタイプを阻害剤に対する応答性から判定するという、本研究計画の骨子となる研究成果を得ることができた。
3.北海道大学の出山が岐阜大学の柴田研究室に行き、lining cell, original cell及び作成されたiPS細胞の培養及び解析法を修得し、北海道大学においても細胞培養を行える準備をした。
4.ヒトの骨型、小腸型、胎盤型、肝臓型のアルカリ性ホスファターゼ及びHSC3, HSC4, Hella,Ca9-22, P19などの腫瘍系の細胞を使用してそれぞれの細胞のALP活性の阻害剤に対する応答性及びALP活性測定時の基質の性質などから、各タイプのALPの特徴を解析した。特にP19細胞は腫瘍系であるが、レチノイン酸処理することにより神経系の細胞に分化する。分化させたことによるALP活性の性質の変化について興味深い知見を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1.当初の計画では、iPS細胞の培養はすべて岐阜大学で行うことにしていたが、実際に研究を開始すると、すべての必要な細胞を輸送するのは困難な点があり、北海道大学でも培養行う必要が生じた。そのため、実績の概要に記載したように細胞培養と評価の方法の習得のために時間を要し、iPS細胞を使用した解析には遅れを生じた。
2.しかし、岐阜大学における新たなヒト歯髄由来幹細胞の樹立と、組織発生段階の違いによる歯髄組織幹細胞の増殖能、分化能、継代の関係、iPS細胞の樹立効率、iPS細胞の増殖能、分化能、腫瘍化の解析は順調に進んでいる。
3.また、北海道大学においてはiPS細胞を使用したALP活性の解析は遅れたが、各種細胞を用いたALP活性の解析、特に阻害剤に対する応答性と基質の解析は順調に進み平成25年度に予定していた解析の一部を行っている。また、本研究計画でiPS細胞の解析と同様に重視していた腫瘍細胞を用いた細胞の増殖能・分化能とALP活性の解析は順調に進んでいる。
従って、iPS細胞に関する解析の状況から「やや遅れている」としたが、その他の部分では順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

当初の計画どおり、平成25年度に予定していた計画と一部平成24年度に予定していたiPS細胞に関する研究を進める。
具体的には、1. 組織発生段階の違いによる歯髄組織幹細胞(DPSC)の増殖能・分化能及び継代とALP活性の関係、2.DPSCのALP活性とiPS細胞の樹立効率との相関の解析、3. iPS細胞の増殖能・分化能・腫瘍化とALP活性の関係、4.ALPの生理的基質となるタンパク質の同定、5.ALP阻害剤添加の培養液で培養した際のDPSC及びiPS細胞の増殖能・分化能の変化、を明らかにする。
これらの研究により、ALP活性を指標に、再生医療の資源としての歯髄組織幹細胞と歯髄組織幹細胞から誘導されたiPS細胞の質を評価すること、ALPの機能を調節することにより幹細胞性を維持する方法を開発すること、ALPの基質を同定することにより細胞の初期化及び分化能のキーとなる物質を明らかにすることを目指す。

次年度の研究費の使用計画

①平成24年度未使用額発生の理由
2月末日の時点では、発注していた物品の納入の遅れなどから、532,573円の未使用額が存在したが、3月中に、購入を予定していた物品が納入されたことから、3月末時点では残額はほとんどない。
②平成24年度未使用額の平成25年度使用予定
残額はわずかであるため、研究計画時の平成25年度使用予定に対する影響はない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ヒトアルカリ性ホスファターゼ・アイソザイムの阻害剤に対する感受性の相違2012

    • 著者名/発表者名
      飯岡拓馬,出山義昭,吉村善隆,鈴木邦明
    • 雑誌名

      北海道歯誌

      巻: 32 ページ: 202-209

    • 査読あり
  • [学会発表] エチドロネートによる骨型アルカリ性ホスファターゼ活性の可逆的な非拮抗阻害

    • 著者名/発表者名
      鈴木邦明、菊池 均、吉村善隆、出山義昭
    • 学会等名
      第54回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      奥羽大学(郡山市)

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公開日: 2014-07-24  

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