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2012 年度 実施状況報告書

幹細胞由来エクソソームによる組織再生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24659869
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

小牧 基浩  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄付講座准教授 (30401368)

研究分担者 岩崎 剣吾  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄付講座教員 (40401351)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / エクソソーム / 組織再生
研究概要

本研究は、エクソソームを介した幹細胞による創傷治癒促進のメカニズムを研究し、細胞移植を伴わない安全、低侵襲、低コスト、簡便な歯周組織再生法の確立を目指すことを目的とした。平成24年度は、1 エクソソーム単離法の確立、2 エクソソーム投与による歯周組織再生効果の解析を、平成25年度にはエクソソームの細胞形質変化に対する効果検討、エクソソームの成分解析を計画した。
間葉系幹細胞(MSC)より超遠心法を用いてエクソソームを単離、各種試験よりエクソソームであることを確認した。実験的歯周組織欠損の治癒をMSC培養上清が促進することを明らかにし、エクソソームを除いたMSC培養上清の効果を現在検討中である。また、MSC由来エクソソームが標的細胞に短時間で取り込まれ、標的細胞における特定の遺伝子発現を上昇させることを明らかにした。同時に、エクソソーム内にはこの遺伝子の発現がないことから、エクソソームによる直接的なmRNAの伝達ではないことを確認している。
エクソソームは種々の細胞より産生され、タンパク質やmRNA, microRNAなど細胞の機能調節に関与する様々な因子を内包し、細胞間における新たな情報伝達手段として近年、その重要な役割が明らかになりつつある。間葉系幹細胞移植による創傷治癒促進効果が報告されて久しいが、創傷治癒促進のメカニズムは未だ十分に理解されていない。我々は、間葉系幹細胞からもエクソソームが産生されること、これが標的細胞に新たな機能を付与する可能性を明らかにした。我々の研究成果により、エクソソームにも創傷治癒に対する効果が期待され、細胞移植を伴わない組織再生法の確立に向けた重要な知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究室では既に種々の組織に由来する間葉系幹細胞の単離と、歯周組織欠損、虚血性疾患、骨欠損、皮膚欠損、脳および肺の創傷モデルを作製し、間葉系幹細胞移植とその評価法を確立している。エクソソームの単離と電子顕微鏡、動的光散乱法、ウェスタンブロッティング法による同定、定量のための手技が予想より早期に確立できた。ただし歯周組織欠損を用いたエクソソームによる創傷治癒促進効果の検討に関しては、エクソソームの投与による直接的評価ではなく、エクソソームを除いた間葉系幹細胞培養上清を用いた間接的手法によるものであり、今後直接的評価法についても検討する。以上の経過から研究計画はおおむね順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成2年度の研究によって間葉系幹細胞からのエクソソームの単離、同定、定量法が確立でき、このエクソソームを用いて標的細胞の遺伝子発現に影響することを示すデータが得られた。また歯周組織欠損モデルを用いて間葉系幹細胞培養上清(エクソソーム有無)が創傷治癒を促進するか否かを確認した。平成25年度は、間葉系幹細胞と創傷治癒促進効果をもたない細胞に由来するエクソソームの成分分析(mRNA, microRNA, タンパク質のプロファイル)を行い、治癒促進に関与するエクソソーム内包因子を同定する。加えて、
1 細胞に前処理のエクソソームの創傷治癒促進効果に対する影響を検討する。
2 エクソソームの投与経路について検討する。
3 組織再生効果のより高いエクソソームを確保するために、これまでとは異なる組織に由来する間葉系幹細胞を単離して性状と創傷治癒促進効果を比較検討する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度においてもエクソソームの細胞と動物実験(創傷モデル)を用いた実験に並行して、エクソソームの成分解析を行う予定である。研究経費の使用については、細胞培養試薬、FACS試薬、免疫染色関連試薬、エクソソームの抽出(超遠心法)、同定(抗体など)、定量に関わる試薬、動物維持・管理、手術関連器材と試薬、エクソソーム成分解析(microRNA アレイなど)に関わる試薬等の消耗品の購入ならびに、データ解析のためのコンピューターの購入が必要である。特許出願後は、本研究成果は学会での発表を予定しており、学会参加に際して必要になる参加費、交通費、滞在費などの捻出を計画している。実験設備については、東京医科歯科大学学内の共用研究施設を最大限に活用し、経費の削減に努める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 産業財産権 (1件)

  • [産業財産権] 細胞の初期化を誘導する胎盤由来幹細胞エキソソームとその調整法2013

    • 発明者名
      森田育男、小牧基浩、岩崎剣吾
    • 権利者名
      東京医科歯科大学、大日本印刷株式会社
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願
    • 出願年月日
      2013-05-31

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公開日: 2014-07-24   更新日: 2015-05-28  

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