研究課題/領域番号 |
24659871
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中田 秀美 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (30451967)
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研究分担者 |
黒田 真司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50323689)
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キーワード | 脂肪由来幹細胞(ASC) / スフェロイド / 三次元培養 / 共培養 / monocytes |
研究概要 |
脂肪組織由来幹細胞(ASC)から生じた細胞シートを成形してスフェロイドを作製し、透過電子顕微鏡による構造解析、in situ hybridizationによる遺伝子発現解析、β-TCP disc、HA disc上での三次元的な分化誘導能の検討、そしてmonocyteとの共培養を行った。その結果、スフェロイドは、幹細胞の特徴である大きな核と多数の細胞突起を有する表層細胞と、立体構造の維持に必要な、コラーゲンなどの細胞外基質を大量に分泌する内部細胞で構成されており、内部細胞にも豊富なミトコンドリアの含有を認めた。また、スフェロイド表層で多分化能のマーカー遺伝子Oct3/4,Nanog,Sox2の発現が認められ、強い増殖能と多分化能を持つことが示唆された.β-TCP discやHA disc上でのスフェロイドの三次元培養では,骨芽細胞誘導培地を用いずに培養3日目でALP陽性となり,ASCスフェロイドは立体的な増殖も,三次元的な分化誘導も可能であると考えられた. スフェロイドとmonocyteとの共培養では、5日目でTRAP陽性細胞を認め、DAPI染色にて多核の細胞を多数認めた。多核細胞は融合し、細胞の巨大化が認められた.骨芽細胞分化培地ではより細胞が凝集する傾向が見られた.monocyteと21日間培養したスフェロイドでは石灰化noduleの形成を認めた。Monocyteとの共培養によって,VitD3やPGE2などのosteoclast分化誘導試薬を用いなくとも多核細胞が多数出現してきたことから,ASCが骨芽細胞へ分化誘導されたことによるシグナリングで,monocyteからosteoclastが分化誘導された可能性が考えられた.さらに,分化培地でのASCの単独培養よりも,増殖培地での共培養でALP活性が高かったことより,monocyteとASCとの間の相互作用が示唆された.共培養ではスフェロイドから延びて重層になった細胞シートの下層にはTRAP陽性多核細胞が,上層にはALP陽性単核細胞が存在する形となっており,骨の代謝に適した形になっていると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脂肪由来幹細胞は非常に増殖能が高く、また、細胞シートからスフェロイドを作製することで、スフェロイド形成に要する時間が短縮できるようになったため、様々な解析を行うことができた。 研究成果は研究の前半部分を日本口腔インプラント学会総会学術大会にて発表し、 Dentsply Award を受賞した。 さらに、その後の研究成果をAcademy of Osseointegration(U.S.A)にて発表し、 First place scientific poster presentation awardを受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪由来幹細胞を用いた様々な解析を計画中である。また、今後はin vivoの実験系へと続けて実験を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画が年度をまたいだため、費用を持ち越すこととなった。 今後も研究計画に基づいて実験を行っていく予定である。
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