研究課題/領域番号 |
24659871
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
中田 秀美 岩手医科大学, 歯学部, 非常勤講師 (30451967)
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研究分担者 |
黒田 真司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50323689)
近藤 尚知 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70343150)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脂肪由来幹細胞(ASC) / スフェロイド / 三次元培養 / 単球(monocyte) / 共培養 |
研究実績の概要 |
目的:骨髄の約1000倍の幹細胞を含む皮下脂肪組織から分離した、脂肪由来幹細胞(ASC)をマクロサイズのスフェロイドにすることで、ダイナミックな立体培養と分化誘導を起こし、スキャフォールドフリーの自家移植材の開発に繋げていくことが本研究の目的である。 方法と材料:マウス皮下脂肪より獲得した脂肪由来幹細胞シートを成形してマクロスフェロイドを作製し、その立体構造と、構成する細胞および細胞が産生する細胞外基質の特徴を透過電子顕微鏡で確認し、BrdUの免疫染色で内部壊死の有無を確認した。また、多分化能のマーカー遺伝子(Oct3/4,Nanog,Sox2)の発現をin situ hybridizationで解析し、Hydroxylapatiteおよびβ-TCPディスク上での三次元培養、さらにマウス単球との共培養を行った。また、ASCを表面抗原CD90およびCD105によって分取して、それぞれの細胞集団の骨芽細胞分化能を比較し、さらにマイクロアレイ解析によってその結果を検証した。 結果と考察:ディスク上に置いたスフェロイドは数日でディスク内に侵入し、ディスク内部での放射状の成長とともにALP陽性を示した。また、スフェロイド内部にも細胞分裂が確認され、組織学的に内部壊死は認めなかった。透過電子顕微鏡所見で、スフェロイドは、大きな核を持ち幹細胞の特徴を有する表層の細胞と、立体構造の維持に必要な、コラーゲンなどの細胞外基質を分泌する内部細胞で構成されており、多分化能のマーカー遺伝子の発現は、表層細胞でより強く確認された。また、単球との共培養によって、ALP活性と石灰化促進が認められた。胚葉をこえた様々な分化誘導の報告のあるASCを立体化することで、豊富な細胞外基質の分泌と三次元的な細胞接着を持つことが明らかとなり、これを分化誘導することで、生体の構造に近い組織再生が実現する可能性が示唆された。
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