研究課題/領域番号 |
24659874
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40324793)
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研究分担者 |
飯田 征二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40283791)
平野 義明 関西大学, 工学部, 教授 (80247874)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 組織工学 / 三次元細胞集合体 / 粘膜組織 / 骨組織 |
研究概要 |
温度応答性高分子ゲル材料を鋳型として用いることで、骨髄間葉系幹細胞を元に、直径サイズの異なる球状細胞集合体を作製することに成功した。この球状細胞集合体を長期間骨系誘導培地にて培養を行ったところ、培養期間に応じて、細胞集合体サイズが大きくなり、成長していることが認められた。この細胞集合体内部について組織学的な検討を行ったところ、培養初期より軟骨組織特異的基質であるアグリカンやタイプ2コラーゲンの発現が認められ、また、時間経過とともに石灰化の沈着が認められた。これら基質の沈着は細胞集合体内部において部位特異的であり、軟骨細胞分化層は表層から少し内側、石灰化層はその層よりさらに内側で認められた。このように細胞の塊から生体組織様軟骨、骨組織の生成をin vitroで達成できた。 また、この骨様組織生成にあたり、細胞集合体内部における酸素分圧が重要であることが考えられ、これについては球状細胞集合体内の実際の酸素分圧を測定することで評価した。その結果、酸素分圧として100-130mmHg、球の直径として1.0-1.5mm程度のものが骨様組織生成のサイズとして適していることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨髄間葉系幹細胞を用いて三次元細胞集合体の作製に成功した。さらにこの集合体の培養条件を種々検討することで、この集合体を軟骨様、骨様組織にまで分化誘導することが可能となった。これらは、本研究の基盤技術であり、大きな進捗といえる。
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今後の研究の推進方策 |
すでに作製条件を確立している軟骨様、骨様組織の体内への埋入を行い、これら組織の移植材としての有用性を検討する。この場合、頭蓋部分に作った人為的骨欠損への埋入により骨生成能の評価を行う。 一方、これまでに構築してきたゲル系材料を利用し、線維芽細胞あるいは上皮細胞の積層化ならびに上皮系組織のin vitroでの構築を目指す。この場合、単純な培地内での培養ではなく、気相との接触をさせた複雑系での培養を行う。条件の最適化を通じ、上皮系組織構築期間の短縮を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
3Dプリンター用原料基材の購入、およびデータ解析など研究補助に携わる人の雇用に使用。 その他,成果発表のため、複数の国内学会への出席を予定しており、その旅費および学会参加費として使用。
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