研究課題
生体内では,多くの器官に組織幹細胞が存在し,組織の恒常性の維持や修復に関与していることが知られている.これらの組織幹細胞は,それぞれの組織内でニッチと呼ばれる特有な微小環境中に存在し,その幹細胞性を維持していることがよく知られている.そこで,昨年度我々は創傷治癒に関与していることが知られているwnt-induced secreted protein (WISP)-1/CCN4が歯胚発生時期に高発現していることをin situ hybridizationにて明らかにしてきた.そこで今年度はWISP-1/CCN4ノックアウトマウスにおいて,歯胚発生に影響があるか組織学的に検討した.その結果,E14.5のノックアウトマウスにおいて若干歯胚発生が遅れている像が観察されたが,E18.5では発生にほぼ差は認められなかった.また,創傷治癒に幹細胞ニッチが大きく関与しているという報告から,WISP-1/CCN4ノックアウトマウスに皮膚欠損を作製し,創傷治癒に与える影響を検討した.その結果,ノックアウトマウス群において,皮膚創傷治癒は有意に抑制された.以上より,WISP-1/CCN4が幹細胞ニッチに関わり,組織発生や創傷治癒を制御している可能性が示唆された.
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