研究概要 |
粉末飼料飼育 (Soft Diet)実験:生後4週齢(離乳期)から長期間粉末試料で飼育し咀嚼筋に及ぼす影響を調べた。1) Soft Dietにより咬筋や内側翼突筋では、下記のような筋線維タイプの転換が観察された。タイプ2B → 2A(強い力を必要としない)タイプ 1 → 2A(持続運動を必要としない)Simultaneous 2-way Conversion 2) 外側翼突筋の上頭はStatic、下頭はPhasicな機能を有していた。Soft Dietによりタイプ2A →1への転換がみられ Jaw closerと逆の結果であった。 交感神経切除が咬筋の組織化学的および形態学的特徴に及ぼす影響について検討した。「方法」 雄性ウサギ(日本白色種)10匹を用いた。離乳期4週齢で右上頸神経節切除術を試行した(切除群; n=6)。神経節切除術を行わないコントロ-ル群(n=4)と共に、24週齢で、咬筋を採取して浅層と深層に分けて凍結連続切片を作製した。ATPase, NADH-TR染色により、筋線維をタイプ1,2A,2B,2Cに分類、各筋のタイプ1面積率、タイプ別構成比率、筋線維直径を測定した。「結果」 咬筋浅層、深層とも切除群とコントロ-ル群のタイプ1線維が占める面積率に有意差は認めなかった。浅層では切除群でタイプ1線維数がコントロ-ル群と比較して有意に減少していた(P=0.03)。深層では、切除群でタイプ2A線維数が有意に減少しており(P=0.02)、タイプ2B線維数が増加していた(P=0.05)。切除群とコントロ-ル群の各筋線維の長径に有意差は認めなかった。また切除群でNADH-TRの活性低下が観察された。形態学的には切除群において、筋線維の大小不同、壊死、opaque線維の出現といった筋原性変化が認められた。壊死、再生線維などヒト顎変形症や筋ジストロフィーと似たような異常所見がみられ、筋線維の分化、エネルギー代謝には交感神経が調節していることが示唆された。
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