研究課題/領域番号 |
24659889
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小村 健 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10334434)
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研究分担者 |
森田 圭一 東京医科歯科大学, 硬組織疾患ゲノムセンター, 特任講師 (10396971)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 口腔がん / ゲノム / マイクロアレイ / 11q13.3 / マイクロダイセクション |
研究概要 |
11q13.3増幅ナビゲーションマイクロダイセクト口腔癌ゲノム構造解析 口腔癌症例のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織のテストサンプルを用いて、DNAを抽出し、全ゲノム増幅の有無、2種類の蛍光色素ラベル法の組み合わせなどの条件をちがえた複数のサンプルを用意し、アジレント社SurePrint G3 Human CGH 8X60Kを用いてゲノムコピー数異常の頻度、程度、S/N比などを検討した。 FFPE組織から抽出したDNAでは、酵素法による蛍光色素ラベルを用いると、S/N比が高くなり良好なマイクロアレイデータが得られないことが判明した。一方、化学標識法では、投入DNA量が250ugと比較的多く必要であるが、FFPE組織由来DNAでも、S/N比が低く比較的良好なマイクロアレイデータが得られることが明らかとなった。そこで、微量のDNAを全ゲノム増幅後に化学標識法を用いてラベルしたDNAを用いたところ、酵素法ほどではないが、S/N比が高くなり良好なマイクロアレイデータが得られないことが判明した。これらの結果は、酵素法のラベル化のステップでPCR反応が必須となることが原因と考えられ、全ゲノム増幅においても同様であるが、FFPE組織から抽出したDNAにPCR反応を加えるとバイアスのかかった増幅がおこり、コピー数変化が維持されないと考えられた。 一方、免疫組織染色後の封入されたプレパラートから抽出したDNAがCGHマイクロアレイ解析に用いることができるかを検討した。十分なDNA量を得るために、マイクロダイセクションを施行せずに4um厚の切片を免疫組織染色し、キシレンで脱水後に封入したプレパラートを再度、キシレン中で一晩振盪しカバーガラスを除去した上で、DNAを抽出しCGHアレイを実施したところ、S/N比が低く比較的良好なマイクロアレイデータが得られることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔癌症例のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織のテストサンプルを用いて、化学標識法では、投入DNA量が250ugと比較的多く必要であるが、FFPE組織由来DNAでも、S/N比が低く比較的良好なマイクロアレイデータが得られることが明らかとなり、また、免疫組織染色後の封入されたプレパラートから抽出したDNAがCGHマイクロアレイ解析に用いることができることが明らかとなり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
全ゲノム増幅を含むPCR反応を加えるとCGHアレイには不適なサンプルとなることが明らかとなったため、マイクロダイセクションによる微量サンプルから抽出した微量DNAを解析に用いるためには、薄切サンプルの枚数を増やす必要がでてくる。このため、マイクロダイセクトする領域の面積と薄切の厚みの条件を変えたサンプルから収集できるDNAの量を検討する必要がある。 また、CGHアレイ以外にも微量サンプルからの次世代シーケンサーなどの新技術によるゲノム変異解析の可能性について検討する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
サンプルの面積、厚みを変えた複数のサンプルで回収できるDNAの量を検討し、さらに少ないサンプル量でCGHアレイが実施できるか検討するため、CGHマイクロアレイ、シーケンス試薬などの試薬類に研究費を使用する。また、現在までに得られたデータをもとに学会発表を行い、さらに同分野での研究成果の情報収集も行うために研究費を使用する。
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