研究課題/領域番号 |
24659891
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
長塚 仁 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237535)
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研究分担者 |
辻極 秀次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70335628)
玉村 亮 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00403494)
片瀬 直樹 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30566071)
山近 英樹 岡山大学, 大学病院, 講師 (10294422)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 象牙質 / 再生 / 歯周組織 / 細胞培養 |
研究概要 |
現在のインプラントは、直接顎骨骨組織に固定して使用される。そのため骨吸収や、ゆるみが生じる問題点がある。そこで本研究では、TCPと象牙芽細胞株を用いて生体外で極性を有する象牙質を形成し、さらに、セメント質を有する完全な歯周組織構築を行い、次世代歯周組織再生型インプラントの開発を目指す。 当該年度では象牙質微小環境を模倣したハニカムTCPの作製と牙芽細胞培養条件の検討を中心に研究を行った。 象牙質微小環境を模倣したハニカムTCPの作製:ハニカムTCPを作製するため、TCPの成分、結晶構造が生体におよぼす影響について検討した。1100から1500度の各焼成温度で作成したハニカムTCPはX線回折法において、1200度以下ではβ型のみ検出された。しかし1250度以上ではα型が検出され、温度上昇に伴いα型含有量が増加する傾向が認められた。ハニカムTCPの構造は1100度では顆粒状の粒子構造が破断面および表面に観察され、小さな間隙を有してしていたが、焼成温度の上昇に伴い、粒子同士が融合し粒子が大きくなる傾向が認められた。生体反応は1100度では、激しい異物反応が生じている。しかし1200度までは温度の上昇に伴って炎症反応が減少する傾向が認められ、1200TCPでは新生骨組織が形成された。1250度では再び炎症反応が強くなり、焼成温度が上昇するにつれて炎症反応が増加する傾向が認められた。以上から1200度で焼成したハニカムTCPが最も象牙質形成に適した材料であると考えられた。 象牙芽細胞培養条件の検討: 1200度で焼成作製したハニカムTCP上で象牙芽培養細胞を培養し、細胞形態、細胞分化能、および石灰化に及ぼす影響について検討した。TCPの有無と細胞の性格には大きな相違は認められなかったことから、培養条件下において細胞毒性等の影響はないものと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ハニカムTCPと象牙芽細胞株を用いて生体外で極性を有する象牙質を形成し、さらに、セメント質を有する完全な歯周組織構築を行い、次世代歯周組織再生型インプラントの開発を目指している。当該年度実験計画では象牙質微小環境を模倣したハニカムTCPの作製と牙芽細胞培養条件の検討を中心に研究を行う予定であった。ほぼ実験計画通りに研究が進行し概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度研究データを元として、引き続き象牙質微小環境を模倣した管状構造を有するハニカムTCPの作製および象牙芽細胞培養条件の検討と、極性を有する象牙質の誘導実験を行う予定である。 象牙質微小環境を模倣したハニカムβ-TCPの作製および、極性を有する象牙質の誘導と解析では、ハニカムTCPの焼成温度、TCPの組成が生体におよぼす影響についての検討に加え、ハニカムTCPの様々な形状、細管の内径等が生体に及ぼす影響について検討する。実験計画は、GFPトランスジェニック実験動物から樹立した象牙芽細胞をコンフルエントに達するまで培養する。次ぎに石灰化誘導培地で培養した後、培養細胞を回収しマトリゲルと混和、1200度で焼成した異なる内径の孔を有するハニカムTCPに充填する。ハニカムTCP充填培養細胞を免疫不全マウス背部皮下に埋入し経時的に組織摘出、定法にて切片を作製した後、β-TCPと象牙質との接着性ならびにscaffoldの有用性を組織学的に判定する。 また分化誘導した象牙芽細胞および移植した象牙芽細胞から、遺伝子および蛋白質を抽出、骨、象牙質関連遺伝子の発現レベルの解析をRT-PCR、Western Blottingを行い、培養条件下および生体内での細胞動態について解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度の設備・備品の申請はない。消耗品に関しては実験動物、培養用試薬、遺伝子発現解析、免疫組織化学関連試薬等、各種抗体を購入するために経費が必要である。特に当該年度は動物実験関連の試薬購入が主に必要となる。旅費に関しては硬組織再生生物学会学術大会(岡山-神奈川)にて研究成果発表予定のため申請した。謝金・その他に関しては英文論文2編の発表予定である。この為の論文投稿料(論文掲載費)を申請した。 繰越し金が生じた理由は以下の通りである。 象牙芽細胞培養条件の検討において各種ハニカムTCP上で象牙芽培養細胞を培養し、細胞形態、細胞分化能、および石灰化に及ぼす影響について検討する計画であった。しかし象牙質微小環境を模倣したハニカムTCPの作製において明らかな生体反応の違いを生じ培養実験には1200度で焼成したTCPのみを用いる実験に変更した。また当初計画していた遺伝子および蛋白質発現に関する研究を次年度に繰り越す研究計画が延期され、研究経費が次年度へ繰り越されることとなった。
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