研究課題
現在のインプラントは、直接顎骨骨組織に固定して使用されるため、骨吸収やゆるみが生じる問題点がある。本研究では、TCPと象牙芽細胞を用いて象牙質、セメント質を有する完全な歯周組織構築が可能な、次世代歯周組織再生型インプラントの開発を目的としている。本年度研究では昨年度研究によって確認された、象牙芽細胞株(TGC)がTCP細粒の間隙に細胞突起を伸ばし極性を生じた現象について詳細に解析を行った。TGCと骨組織環境中における反応性について観察するため、ハニカムTCP孔内にマトリゲルと共にβGPにて石灰化誘導、およびTGFβを用いて誘導を行った細胞を充填し埋入体を作製した。ハニカムTCPは厚さ1mmに直径300μmの貫通孔を形成した試料を使用した。埋入体はSCIDマウス骨組織にダイヤモンドバーで骨欠損を作製、骨欠損部に接触するように移植した。移植した埋入体は2,4週後に摘出、常法にて標本を作製、組織学的解析を行った。TGCをTCFβで誘導を行った試料においては、TGCはTCP上で塊状の組織を形成し、塊状組織の周囲で極性の認められる細胞を認めたが、大部分において不規則な細胞配列であった。TGCをβGPで石灰化誘導を行った試料においては、TGCはTCP上にほぼ一層の細胞層をなして接触しており、細胞は高円柱状を示し核はTCPと反対側に位置し極性を示していた。しかしながら骨組織とは直接の結合性は認められず、セメント質や歯根膜等の歯周組織の明らかな形成は認められなかった。以上の結果から、骨組織環境中においてTCP等のscaffoldを用いることにより、高度な極性を有する象牙芽細胞様細胞の誘導が可能であり、細胞を用いた歯牙再生医療への可能性が示唆された。
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