研究課題/領域番号 |
24659901
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
平塚 博義 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50165180)
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研究分担者 |
出張 裕也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00381260)
道振 義貴 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00457722)
宮崎 晃亘 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10305237)
荻 和弘 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40433114)
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キーワード | 口腔がん / 幹細胞 / ワクチン |
研究概要 |
がん幹細胞細胞は腫瘍の維持、再発や転移に必須であると考えられている。そのため、がんを治癒させるためにはがん幹細胞を根絶することが不可欠である。がん幹細胞マーカーに関しては全てのがん幹細胞に共通するマーカーは明らかではなく、がんの組織型の違いにより様々な報告がある。口腔扁平上皮癌のがん幹細胞マーカーとしてCD44陽性細胞が報告されているが、議論のあるところである。本研究では口腔扁平上皮癌細胞を材料にALDH1(アルデヒドデヒドロゲナーゼ1)強陽性細胞をがん幹細胞として分離し検討を行った。ALDH1強陽性細胞の割合は細胞株によりばらつきがあるものの12.2%~28.4%が分離可能であった。口腔扁平上皮癌細胞からのがん幹細胞の分離は本研究の最も重要な計画の1つであり、これを用いて幹細胞マーカーの発現を検討した 。 上記の方法で分離したALDH1強陽性細胞ではSOX2, Nanog, POU5F1の発現がmRNAレベルで上昇していることが確認された。さらに 、NOD/SCID免疫不全マウスで造腫瘍能を検討したところ、高い造腫瘍能を示した。以上ことから、ALDH1強陽性細胞群には幹細胞の特徴をもった細胞が分離されているものと考えられた。ALDH1強陽性細胞と弱陽性細胞を比較するため、マイクロアレイによる網羅的解析を行ったところ、分化および細胞増殖に関わるいくつかの遺伝子で発現の上昇が認められた。現在、がん幹細胞の特徴に関与する可能性のある候補遺伝子の分子生物学的な機能解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最も重要な要素に口腔扁平上皮癌細胞におけるがん幹細胞の分離、同定がある。アルデフローアッセイ、サイドポピュレーション法、CD44などのマーカーをもちいる方法を組み合わせて、口腔扁平上皮癌のがん幹細胞を分離した結果、ALDH1強陽性細胞に口腔扁平上皮癌のがん幹細胞の特徴をもった細胞が濃縮されている結果となった。現在ALDH1強陽性細胞と弱陽性細胞をマイクロアレイ法を用いた網羅的遺伝子発現解析での比較が終了し、がん幹細胞の分化や維持、増殖に関与する候補遺伝子を選定し、それらの機能解析を行っている状況であり予定の進捗状況と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ALDH1強陽性細胞を分離しマイクロアレイを用いた網羅的解析により得られた結果より、がん幹細胞の分化や維持、増殖に関与している候補遺伝子に関して分子生物学的手法により機能解析を行い、口腔扁平上皮癌におけるがん幹細胞の特徴を明らかにする。 ELISPOT assayにより、口腔がん幹細胞を標的としたALDH1特異的CD8+T細胞の誘導を確認し、口腔がん幹細胞を標的としたワクチンの候補になりうるペプチドを同定する。
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