研究課題/領域番号 |
24659905
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
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研究分担者 |
井出 信次 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (00611998)
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20380090)
佐藤 徹 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30170765)
寺田 知加 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (40460216)
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キーワード | 口腔白板症 / CaSR / 悪性化確率 |
研究概要 |
口腔白板症は口腔粘膜疾患の中でも発症頻度が比較的高く、その経過中に7~11%の頻度で悪性化することから、口腔粘膜疾患の中でもとくに留意するべき角化性病変である。また実際の臨床においては、平滑型、溝型、潰瘍型、結節型、斑点型などさまざまな視診型を呈することが知られているが、今日までその病態や癌化の原因などについては十分に解明されておらず、外科的切除以外に有効な治療法が確立されていないのが現状である。細胞外カルシウム感知受容体(calcium-sensing receptor:CaSR)は、1078 個のアミノ酸からなり、その配列は7個のエクソン(3234 bp)によりコードされている。この翻訳領域の中には、現在までに判明しているだけで210 カ所の変異や遺伝子多型が確認されており、さらにその変異のうちのいくつかは機能獲得型変異や機能喪失型変異であり、実際の細胞機能などに異常を来すことが知られているが、この受容体が皮膚のkeratinocyteや食道の粘膜上皮細胞にも発現していることが確認され、上皮細胞の分化を制御していることが明らかとなっている。本研究では、CaSR 遺伝子における変異の蓄積が角化異常症としての口腔白板症の病因・病態に深く関わっている可能性に着目し、昨年度までに口腔白板症症例5例および非白板症症例5例の組織を用いて、これをDispaseを用いて上皮組織と間葉組織に分けた後、DNAを抽出し、CaSR遺伝子のシークエンスを解析した。その結果、CaSRの特定の部位に遺伝子変異を認めるが、白板症症例に必ず認められる変異箇所は認められなかった。今年度はさらに症例を増やしそれぞれ10例ずつについて解析を行ったが、残念ながら特定領域の変異箇所は確認できなかった。今後は口腔癌組織にも範囲を拡大し、癌化に伴う特定領域の変異の有無についても検討を進めていく予定である。
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