研究課題/領域番号 |
24659912
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
星野 倫範 長崎大学, 大学病院, 講師 (00359960)
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キーワード | 若年性歯周炎 / Aa菌 / アンチセンスPNA / 膜透過型ペプチド / 細菌叢解析 |
研究概要 |
平成25年度は、リジン-フェニルアラニン-フェニルアラニン((KFF)3-)の三回の繰り返し構造の膜透過型ペプチドを付与し、Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa菌)の外毒素LPSの産生に関与するlytA遺伝子を標的としたアンチセンスPNAの設計と構築を行った。 昨年度の研究では、膜透過型ペプチド(KFF)3-の透過性に関して問題がある様に考えられたが、反応液のpH、反応時間を調整することで透過性を改善できることが分かった。lytA遺伝子に対するアンチセンス鎖の設計は、同遺伝子の開始コドン(ATG)から9~12塩基までのアンチセンス配列で設計した。本年度は12塩基のアンチセンス鎖のものを中心に解析を行い、Aa菌の標準的な性質をもつY4株と強毒株JP2株を用いて、リアルタイムRT-PCRでlytA遺伝子の発現抑制に関して調査を行った。その結果、低濃度ではむしろlytA遺伝子の発現を促進するがある濃度を超えると発現抑制をする結果が得られた。また、強毒株であるJP2株は、Y4株の約4倍のlytA遺伝子の発現が見られることが明らかとなった。次年度以降は詳細な指摘濃度の調査とアンチセンス鎖の長さを変えた場合の発現抑制に関して調査する予定である。 また、平成25年度は、Aa菌を持つ患者が若年層にどの程度存在するかを調べ、本研究の成果が創薬に役立った場合にどの程度の若年者に有効かを検討するために、8か月の乳児および口腔清掃状態の悪い脳性麻痺のある患児に対して口腔細菌叢の調査をあわせて行い、その結果を第51回日本小児歯科学会大会および第30回日本障害者歯科学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Aa菌のアンチセンスPNAの効果的に作用させる方法において、アンチセンスPNAの長さに関して、文献には11塩基とするのが最も効果的というものがあるが、細胞内への導入効率や二重鎖の結合度とアンチセンス効果の違いには、細胞膜の構造や対象遺伝子の配列が影響し、これを手探りで探していかないと行けないため、予定した計画の進行状況よりも遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に作製したアンチセンスPNAを用いて長さに違い、反応液における濃度を変更して最も効果的にlytA遺伝子の発現抑制を行えるアンチセンスPNAを同定する。その一方で、国内・外の研究協力者にも相談し、Aa菌に効果的に作用するアンチセンスPNAの新たな設計、長さや濃度について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に作製したアンチセンスPNAを用いてlytA遺伝子の発現抑制実験を行ったが、効果的な取り込み条件を得るのに時間がかかり、アンチセンスPNAの新たな設計、長さや濃度について検討を行うところまで至らなかったため。 アンチセンスPNAの作製費用を主とし、そのAa菌への取り込み実験を行うための消耗品費を研究費として使用する。また、国内・外の研究協力者との研究打ち合わせ、サンプルの授受、通信に関わる費用として研究費を使用する。
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