研究課題/領域番号 |
24659914
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山崎 要一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30200645)
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研究分担者 |
岩崎 智憲 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10264433)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯学 / 流体構造錬成解析 / 睡眠時無呼吸症候群 / 小児 |
研究概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療には、小児の場合、アデノイド口蓋扁桃除去が第一選択とされるが、その治療結果は必ずしも 良好なものでない。一方、上顎骨側方急速拡大の有効性を示唆する報告があるものの、十分なエビデンスが得られているとは言えない。これらの理由として、気道の閉塞部位にはばらつきがあり、その閉塞の原因が、必ずしもアデノイドや口蓋扁桃肥大だけではないことが考えられる。そこで、小児OSASについて、未だ確立されていない気道の通気障害部位の特定方法、ならびに歯科的対応による通気障害の治療予測モデルの作製方法の確立を目的に研究を行った。 その結果、①流体シミュレーションは上気道通気障害の有無と障害部位の特定に有効であることが示された。②上顎急速拡大がこれまで考えられてきた以上に、鼻腔通気状態の改善に有効であることが示唆された。③鼻閉により、咽頭部の吸気時の陰圧が強くなり、気道収縮を起こしやすくなること、RMEにより鼻腔通気状態を改善することで吸気時の咽頭部の陰圧は軽減し、気道収縮が起きにくくなる可能性が示された。これら結果はRMEの小児OSASに対する作用機序の一要因として考えられるだけでなく、咽頭部に通気障害を認めても、原因は鼻腔にある可能性を示し、上気道全体の通気状態評価の有用性を示す結果と考えた。(第37回日本睡眠学会(ベストプレゼンテーション賞 受賞), 2012年 6月,横浜市)これらの結果は小児OSASについて、未だ確立されていない気道の通気障害部位の特定方法、ならびに歯科的対応による通気障害の治療予測モデルの作製方法の確立に有用なものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
24年度は歯科的治療である上顎骨急速拡大により、鼻腔抵抗値が下がり、その結果、咽頭部の吸気時陰圧が軽減され、無呼吸症状に有効であることを示すことができた。このことは当初の計画である、通気障害評価システムの構築に役立つものとなった。 また、上記研究は医科系の全国規模の大きな学会(第37回日本睡眠学会、パシフィコ横浜、大会参加者2000人以上、演題数300演題)で表彰を受け(表彰演題10題、医科以外での表彰は本研究のみ)、客観的にも評価を受けたため。
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今後の研究の推進方策 |
1.上顎側方急速拡大と下顎前方誘導による上気道形態および通気状態の変化の解析 上顎側方拡大量や下顎前方誘導量と上気道形態の計測データ、ならびに流体-構造連成解析による通気状態のデータとの関連を調べ、各治療による気道形態と通気状態の変化の予測値を得る。 2.治療後の予測モデルと実際の治療後との通気状態の比較検討治療前の3次元気道データから、各治療による形態変化の予測値を参考に、FEM メッシュモーフィングソフトウェア MeshWorks/ Morpher®(CDAJ 社製:既存物品)を用いてメッシュモーフィングを行い、上気道の治療後の予測モデルを作製する(図9)。その後、実際の治療後のモデルを使用した形態との流体-構造連成解析の結果を比較検討し、治療後の予測モデルの有効性を向上させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が204,640円となった。その理由はデータ収集とその解析に時間がかかり、該当年度での学会発表予定を次年度に変更したため、次年度使用額が0以上になった。 次年度はこれら得られたデータの解析結果を積極的に学会発表等で発信していきたい。
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