研究課題/領域番号 |
24659916
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
須田 直人 明海大学, 歯学部, 教授 (90302885)
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研究分担者 |
友村 明人 明海大学, 歯学部, 教授 (60188810)
安達 一典 明海大学, 歯学部, 講師 (20349963)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 疼痛 / 矯正歯科治療 / TRPV / イオンチャンネル |
研究概要 |
矯正装置装着によって生じる移動歯ならびに周囲組織の疼痛評価モデルを作成した。イソフルラン全身麻酔下のラットの上顎両側門歯と上顎右側第一大臼歯(移動歯)をニッケルチタンコイルスプリング矯正装置にて連結し,30~50 g の矯正力を負荷する。矯正装着翌日から7日目までのラットをイソフルランで麻酔し、オトガイ舌筋、顎二腹筋、咬筋の筋活動を記録しながら移動歯ならびに反則歯、対合歯の歯頸部に電気刺激を与え、誘発される開口反射を顎二腹筋の筋活動性で評価した。また、矯正力負荷の周囲組織への影響を検討するために、装置装着翌日より一週間にわたりイソフルラン浅麻酔下で同一個体のウィスカーパッドをvon Frey hairにて刺激し、刺激に対する頭部回避閾値の経時的変化を測定した(関連痛)。 その結果、開口反射を誘発するための歯頸部刺激の閾値は、移動歯で装置装着翌日から反対側、対合歯に比較して有意な減少を示し、その感受性亢進は約3日間継続したのち非移動歯との差が認められなくなった。また、閾値とその1.5倍、2倍の強度の刺激を歯頸部に加えた場合、いずれの刺激強度でも移動歯側への刺激は反対側に比較して有意な筋活動性の亢進を認めた(latency、duration、AUC)。一方、周囲組織刺激による頭部回避閾値も装置装着翌日から、装置装着側で反対側に比較して有意な減少を認め、3-4日にかけて反対側と同程度の刺激閾値まで回復することが示された。 これに加えて、装置装着翌日の開口反射誘発実験終了後のラットから三叉神経節を摘出し、10mの連続切片を作製し、GFAP(Glial fibrillary acidic protein)を染色したところ、反対側と比較して装置装着側ではV2, V3枝領域に肥大したGFAP発現細胞の有意な分布を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ラットを用いて歯の移動モデルを作成された。von Frey hairを用いた頭部回避閾値の測定による疼痛評価が可能となった。また開口反射を誘発するための歯頸部刺激による評価系も確立できた。矯正装置装着によって生じる疼痛を関連痛と含めて定量評価が可能なモデルが構築できた。さらに上記モデルにおける形態学的変化を三叉神経節のグリア細胞活性化という形で定量評価することにも成功した。このように研究計画1年目として、予想以上のスケジュールで研究遂行が行えている。
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今後の研究の推進方策 |
矯正力負荷直後から移動歯圧迫側にTRPV1受容体遮断薬でああるcaspazepineを浸潤投与し、各刺激への応答閾値の変化を筋活動性と合わせて評価する。同時に、三叉神経節のグリア細胞活性も評価するが、今後はむしろ移動歯周囲の破骨細胞浸潤量を定量的に評価する方法(TRAP染色など)を導入し、caspazepine または関連薬の鎮痛作用と骨吸収への影響を明らかとしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度には、様々な細胞生物学的評価を行う計画である。そのため、研究用試薬を経費として計上する。また確立されたラットモデルを進めていくために、実験動物の購入費も必要となる。
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