研究概要 |
本研究では①ポリカチオン-PEG-ポリカチオンのABAタイプブロック共重合体とポリアニオンやエステラーゼのようなアニオン性タンパク質を複合化し、フラワーミセルを作製する。②ポリカチオン部に触媒に活性酸素を消去するニトロキシドラジカルを結合し、抗酸化特性を導入する。③複合体の最適化を行い、歯周ポケット内環境でゲル化する材料設計を行う。と言う流れで歯周病に対する新たなナノ治療にアプローチする。本年度の成果を以下にまとめる。 1.ブロック共重合体の合成:目的の材料を作製するため、二段階の合成反応を行った。ラジカルテロメリゼーション反応により両末端チオールPEGからクロロメチルスチレン(CMS)を重合させ、様々な鎖長のPCMS-b-PEG-PCMSを合成する。このクロロメチル基に4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(4-アミノTEMPO)をアミノリシス反応で導入し、ニトロキシドラジカルを有するABA型ブロックポリマー(PMNT-b-PEG-PMNT)を合成した。 2.フラワーミセルの設計:上で合成したABAトリブロックポリマーと市販ポリアクリル酸、エステラーゼ等とのポリイオンコンプレックス(PIC)フラワーミセルを作製した。鎖長を変化させ、安定性とゲル化能を評価した。 3.得られたフラワーミセルによるゲル化試験:in vitroおよびin vivoによるゲル化試験を行い、2分以内にゲル化することを確認した。 4.局所炎症モデル評価:カラギーナン誘発局所炎症モデルを作成し、PICフラワーミセルによる抗炎症効果を評価し、高い効果を示した。
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