研究課題/領域番号 |
24659922
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉江 弘正 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20143787)
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研究分担者 |
小林 哲夫 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00215344)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯周炎 / サイトカイン / 標的療法 / リウマチ |
研究概要 |
本研究の目的は、全身・歯周局所で高いインターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子(TNF)レベルの関節リウマチ(RA)を伴う歯周炎患者を対象にIL-6、TNFの標的療法を行い、歯周組織の炎症・破壊レベルの変動を検証し、全身・歯周局所のIL-6・TNFコンポーネントとの関連性を解明することである。 本年度は初年度として、インフォームドコンセントが得られたIL-6標的療法を予定している歯周炎を伴う関節リウマチ患者28名、TNF標的療法を予定している歯周炎を伴う関節リウマチ患者26名、および、対照群として通常治療を受けた関節リウマチ患者27名を対象に、歯周検査・リウマチ活動度検査を実施後、末梢血液を採取し、臨床検査結果および血清IL-6・TNFコンポーネントを比較した。 その結果、IL-6標的療法群では対照群と比べて、歯周組織の炎症・破壊レベル(歯肉炎指数、出血指数、歯周ポケット深さ、臨床的アタッチメントレベル)の有意な改善が認められた。同様に、血清中のIL-6およびマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)レベルも有意な減少が見られた。一方、TNF標的療法群では対照群と比べて、歯周組織の炎症レベル(歯肉炎指数、出血指数)の有意な改善、血清中の2種のアミノ酸(ヒスチジン、プロリン)濃度の有意な増加が認められた。 今回の結果より、血清中の炎症性サイトカインレベルを抑制する標的療法によって歯周組織の臨床症状は改善する可能性が示唆された。今後は、そのメカニズムの解明のため、IL-6、TNFのシグナル伝達を含めた機能検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-6、TNF標的療法中および同療法を受けていない関節リウマチ患者を目標症例数、確保できたため。
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今後の研究の推進方策 |
IL-6、TNF標的療法の歯周状態および血清マーカーに及ぼす改善効果のメカニズムを解明するために、シグナル伝達発現を含めた分子生物学的検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
マクロファージTHP-1細胞または単核細胞を培養後、IL-6またはTNF-alpha刺激後に培養上清を回収して、JAK-STATまたはSyk-MAPKシグナル発現をWestern blot法にて解析する。さらに、培養上清中のTNFコンポーネント(TNF, TNFR1, TNFR2, sTNF)、IL-6コンポーネント(IL-6, sIL-6R, gp130)濃度をELISA法にて定量する。同様に、歯周病原細菌P. gingivalis LPS刺激時の機能解析も行う
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