研究課題/領域番号 |
24659922
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉江 弘正 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20143787)
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研究分担者 |
小林 哲夫 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00215344)
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キーワード | 歯周炎 / サイトカイン / 標的療法 / リウマチ |
研究概要 |
本研究の目的は、全身・歯周局所で高いインターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子(TNF)レベルの関節リウマチ(RA)を伴う歯周炎患者を対象にIL-6、TNFの標的療法を行い、歯周組織の炎症・破壊レベルの変動を検証し、全身・歯周局所のIL-6・TNFコンポーネントとの関連性を解明することである。 本年度は2年目として、インフォームドコンセントが得られTNF標的療法を予定している歯周炎を伴うRA患者20名を対象に、臨床指標として歯周検査およびRA活動度検査を実施後、末梢血液を採取し、臨床検査結果および血清IL-6・TNFコンポーネントを比較した。その結果、TNF標的療法導入前と比べ導入後には、RA指標(RA活動度、疼痛の視覚的評価スケール、血清中の抗環状シトルリン化ペプチド抗体価、リウマトイド因子レベル)は有意に低下した。臨床的な歯周状態(歯肉炎指数、出血指数、歯周ポケット深さ)についても同様に有意な改善が認められ、血清中のTNF-alpha、IL-6およびマトリックスメタロプロテアーゼ-3レベルも有意に減少した。 さらに、TNF標的療法導入前後での血清蛋白を網羅的に解析した結果、二次元電気泳動ゲル上で合計495 血清蛋白スポットが検出された。そのうち、9スポットの発現強度がTNF標的療法導入後で有意に減少し、MS/MSイオンサーチ分析法による質量分析を実施後、NCBInrデータベースを参照して蛋白同定した結果、 5種の蛋白(complement factor H, phospholipase D, serum amyloid A, complement component 4, alpha-1-acid glycoprotein)がTNF標的療法に関与する血清蛋白である可能性が示唆された。今後は、IL-6、TNF刺激後のシグナル伝達を含めた機能検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-6、TNF標的療法中の関節リウマチ患者を目標に近い症例数を確保できたため。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) IL-6、TNF標的療法の歯周状態および血清マーカーに及ぼす改善効果のメカニズムを解明するために、シグナル伝達発現を含めた分子生物学的検証を行う。 (次年度の研究費の使用計画) マクロファージTHP-1細胞または単核細胞を培養後、IL-6またはTNF-alpha刺激後に培養上清を回収して、JAK-STATシグナル発現をWestern blot法にて解析する。さらに、培養上清中のTNFコンポーネント(TNF, TNFR1, TNFR2, sTNF)、IL-6コンポーネント(IL-6, sIL-6R, gp130)濃度をELISA法にて定量する。同様に、歯周病原細菌P. gingivalis LPS刺激時の機能解析も行う
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