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2012 年度 実施状況報告書

ペプチド核酸による歯周病原細菌除去療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24659925
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関岡山大学

研究代表者

前田 博史  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00274001)

研究分担者 苔口 進  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10144776)
山城 圭介  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30581087)
高柴 正悟  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50226768)
北松 瑞生  近畿大学, 理工学部, 講師 (60379716)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード歯周病 / ペプチド核酸
研究概要

本研究の目的はアンチセンスPNA(ペプチド核酸)を細菌(歯周病原細菌)に対して応用し,病原遺伝子の発現抑制,あるいは細菌の増殖に必須な遺伝子の発現抑制を行うことである。平成24年度は主にPNAの合成、ならびに実験系を確立することを目標に研究を展開した。得られた研究実績は以下のとおりである。
1. ペプチド核酸、修飾ペプチドの合成方法とこれに蛍光標識する方法を確立した。
赤色蛍光色素Tetramethylrhodamine(Tmr)によって標識されたペプチドを数種類合成した。疎水性の高いペプチドを高濃度で使用した場合は溶解せず、析出するケースがあった。ペプチドを水溶液に溶解した場合は約2週間、安定的な実験が可能であることが分かった。
2. 修飾ペプチドの細菌への導入試験の確立
細菌へのPNA導入効率を向上させるためのペプチド配列のスクリーニング法を確立した。最終的にはペプチドライブラリーを作成してスクリーニングを行う予定であるが、今回はこれに先立ち、①Tmr-KFF (Tmr-KFFKFFKFFK-NH2)、②Tmr-Tat (Tmr-RKKRRQRRR-NH2)、③Tmr-R11 (Tmr-RRRRRRRRRRR-NH2)の3種類を合成して使用し、実験系を確立した。細菌への導入効率は蛍光強度測定装置と蛍光顕微鏡を使用して調べることができた。細菌には歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisとAggregatibacter actinomycetemcomitansを使用し、大腸菌でPNAの導入効率を向上させることが知られている①のペプチドが、これら歯周病細菌にも同様の効果を示すことも明らかとなった。細菌への導入は1-10μMの範囲で効率的に起こり、ペプチドの析出はなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた平成24年度の実験計画は①ペプチドライブラリーの構築、②細胞導入試験、③標的遺伝子の決定、④PNAの合成であった。ペプチドライブラリーについては配列の設計段階まで計画が進行している。細胞導入試験では当初アレイスキャンを応用する予定であったが、試行錯誤の結果、蛍光プレートリーダーの応用によって、より効果的にペプチドの細胞導入効率を評価できることが分かった。標的遺伝子については熱ショックタンパク質を最初の候補とし、必要な抗体を用意した。PNAの合成と最終的な遺伝子発現制御の確認までは計画が達成されていないが、平成24年度の実験計画は当初から次年度に引き継ぐ予定であり、実験計画は概ね当初の予定どおり進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

平成24年度の研究成果によって、ペプチドライブラリーから細胞導入効率の高いペプチドを効果的にスクリーニングする方法を確立することができた。また、大腸菌に応用されているペプチド配列が主要な歯周病細菌に対してもPNAの細胞導入効率を向上させる効果のあることが分かった。今後は、200-300種類のペプチドライブラリーを構築し、確立した実験系を用いてPNAの細胞導入効率を向上させる効果をもった新規のペプチド配列を同定する。また、歯周病原細菌だけではなく、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やバンンコマイシン耐性腸球菌に対象となる細菌種を拡大する方策である。PNAの細胞導入効率を向上させる新規のペプチド配列を同定することが望ましい。このため、ペプチドライブラリーの作成には天然型のアミノ酸に加えて、非天然型のアミノ酸を使用する推進方策をとる。新規のペプチドが探索できなかった場合は大腸菌に応用されているペプチド配列を使用し、標的遺伝子の選択に重点を置いたPNAの設計と合成を行い。歯周病細菌の病原因子の発現抑制と増殖抑制を図る計画とする。

次年度の研究費の使用計画

次年度(平成25年度)については研究費の多くをペプチドライブラリーの作成とこれに
必要なアミノ酸と試薬(ペプチドに修飾する蛍光物質等)に使用する計画である(研究分担者:北松担当)。特に、非天然型のアミノ酸は高価なものが多く、必要な研究費は高額になる。その他、細胞導入試験、細菌培養にかかる培地と試験管等の消耗品、そして標的遺伝子の発現抑制を解析するための分子生物学的試薬が必要である。また、標的遺伝子の種類を拡大した場合には、標的タンパク質に特異的な抗体が必要となる。次年度にマウスを使用したin vivo実験に研究が進展した場合は、マウスの購入と飼育に必要な消耗品が必要になる。

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公開日: 2014-07-24  

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