研究課題/領域番号 |
24659932
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
庄司 憲明 東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
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研究分担者 |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
杉本 是明 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (30361158)
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 唾液由来鎮痛物質 / 痛みストレスマーカー / シアロルフィン / オピオルフィン / 慢性痛 / 急性痛 |
研究概要 |
最近、非定型歯痛、舌痛症および顎関節症などの慢性痛患者は増加傾向にあり社会問題となっている。しかしながら、慢性痛に対する治療法は確立されておらず、診断および治療法の開発は急務であり責務である。近年、パスツール研究所の研究員により、ラット唾液からモルヒネの約3~6倍の鎮痛効果があるシアロルフィンが発見された。さらに、2006年11月、ヒト唾液内からシアロルフィンと同様の鎮痛作用を持つオピオルフィンが発見された。しかしながら、いまだこれら唾液由来の鎮痛物質が慢性痛にどのような効果をもたらすかについては明らかにされていない。また、これらの鎮痛効果の評価はラットの行動学的評価であり、疼痛そのものを評価していない等の問題があるため、シアロルフィンおよびオピオルフィンを臨床に応用するためには、鎮痛効果の判定(定量)が不可欠である。そこで本研究では、我々が痛みストレスマーカーになることを発見した視床下部CRH (Corticotropin Releasing Hormone)遺伝子、下垂体POMC(proopiomelanocortin)遺伝子(以上、ストレス関連遺伝子)、三叉神経節P2X4レセプター遺伝子(慢性疼痛原因遺伝子)を指標としてシアロルフィンとオピオルフィンの鎮痛効果を定量的に評価することを目的とした。 平成24年度は、慢性痛モデル作製を重点的に行った。すなわち、ラットの三叉神経第II枝を露出後、Chromic gutにて結紮した神経結紮モデル(CCI: Chronic constriction Injury)を用い、三叉神経第II枝領域の逃避閾値をタッチテストフィラメント(Von Frey 刺激測定器)で評価した。その結果、結紮および切断後3日以降に有意な閾値低下が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、慢性痛モデル作製を重点的に行った。すなわち、ラットの三叉神経第II枝を露出後、Chromic gutにて結紮した神経結紮モデル(CCI: Chronic constriction Injury)の閾値の変化を検討するために、三叉神経第II枝領域の逃避閾値をタッチテストフィラメント(Von Frey 刺激測定器)で評価した結果、結紮の方法(強さ)によって閾値低下にばらつきが見られた。そのためモデルを標準化する必要性が生じ、予定より時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度に続き慢性痛モデルのストレスについて評価する。特にH25年度は、脳内ストレスを評価するために、脳内CRFHおよびc-fos mRNA発現を指標としてReal time PCR法で検討する。すなわち、ラット視床下部の室傍核(Paraventricular Nucleus; PVNを摘出し、RNAの抽出後、Total RNAを吸光度計で濃度を測定し、-80℃に保存する。QIAGEN RT Kit等を用いてcDNAを作成し、-20℃に保存する。Real time RCR は、iCyclerを用いて、CRHおよびc-fosのhnRNAおよびmRNAを定量する。 次に、シアロルフィンが慢性痛に及ぼす影響を検討するために、慢性痛モデル(神経結紮モデル)にシアロルフィンを投与し、シアロルフィンの鎮痛作用を薬理行動学および前述したストレス関連物質を指標として客観的に評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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