研究課題/領域番号 |
24659936
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鮎瀬 てるみ 長崎大学, 大学病院, 助教 (00284703)
|
研究分担者 |
鮎瀬 卓郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20222705)
|
キーワード | 嚥下 / 体位 / 呼吸機能 / 自律神経 |
研究概要 |
本研究は、嚥下中の各相において、体幹を保持する筋肉群と下肢の骨格筋がどのような働きをしているかを詳細に測定・検討し、これ らの筋群の機能異常が嚥下障害の発症の因子となりうるかを解析することを目的としている。さらに体幹筋群の働きが減少している患 者の機能補助のために介護用の下肢のロボットスーツを装着させ、患者の嚥下機能が改善するかを検討し臨床応用の可能性について検 討する発展的目的もある。嚥下中に評価する項目は、1嚥下中の呼吸相と嚥下相の協調的同期、2各嚥下相でのオトガイ舌筋などの咽 頭部筋電図の評価、3体幹筋などの筋電図の評価とし、若年者(20歳代)と高齢者(65歳以上)に分けて研究を行う研究計画とし ている。 次年度の25年度は、いくつかの嚥下体位により嚥下に関連する筋群の作用と呼吸機能(1回換気量、機能的残気量など)が異なるかを検討 するために、座位、立位で筋電図測定を行い、体位変換の前後には換気量計で各呼吸指標の評価を行った。その結果、立位では座位に比べて機能的残気量が増加した。さらに座位から立位に体位変換した場 合、換気量が増大し、肺胞気二酸化炭素分圧(PACO2)が低下する傾向が認められた。また、座位から立位に体位変換することで、心拍数の変化を伴うことが明らかになり、心電図の周波数解析から、自律神経系の変化を測定する必要性が生じた。このため、平成25年度の当初計画では、まず嚥下機能の生理機能評価を行い、その後下肢ロボットスーツ装着時の嚥下機能の変化を検討する予定であったが、自律神経系の解析を先行させる必要が生じ、下肢ロボットスーツ装着による変化の評価を次年度に行うために延長申請済みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度の当初計画では、まず嚥下機能の生理機能評価を行い、その後、下肢ロボットスーツ装着時の嚥下機能の変化について検討する予定であった。しかし、研究を進めていく中で、自律神経系の作用を明らかにする必要が新たに生じ、その実験に時間を要したため、当該年度中に前述のロボットスーツを用いた発展的研究にとりかかることが困難となった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、体位による嚥下中の自律神経系の変化の解析を詳細に行い、座位から立位に体位変換した時の自律神経系の変化に関する新しい知見を、過去の報告と比べて分析し、そのデータを参考に、下肢ロボットスーツの装着による嚥下機能の変化を次年度に行うこととする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく中で、ロボットスーツへの刺激信号を送るための基礎となる、生体の自律神経系の作用を明らかにする必要が新たに生じ、その工程に時間を予想以上に要したため、当該年度中に前述のロボットスーツを用いた発展的研究にとりかかる事が難しくなった。そのため、ロボットスーツをレンタルするために準備していた経費が未使用となり、次年度使用額となった。 体位による嚥下中の自律神経系の変化の解析と、下肢ロボットスーツの装着による嚥下機能の変化を行う。
|