研究課題
初年度は、唾液検査キットの精度検定を実施し、唾液採取方法、唾液ヘモグロビンおよび乳酸脱水素酵素の数値の日内変動、輸送による安定性、検査試薬の違いおよび測定方法について検討を行った。その結果、本研究で用いる唾液ヘモグロビンおよび乳酸脱水素酵素の臨床検査会社における測定精度は高く、疫学研究に使用可能である事が示された。次年度は、調査対象となる公立学校の選定を行い、実際の調査を実施した。更に、レセプトの電算処理に対応する歯科用コンピュータソフトの検討を行った。研究計画書は鶴見大学歯学部倫理審査委員会に提出し、承認を得た。疫学研究に必要な手続きが終了した後に愛媛県内の2つの公立高等学校の教職員の唾液検査ならびにアンケート調査を実施した。唾液検査の分析データは臨床検査会社から、対象となる教職員の月別医療費の6ヶ月分に関するレセプトデータは、公立学校共済組合から提供された。定められた選択基準および除外基準と調査対象者の結果を照合し、医療費と唾液検査の関連に関する分析対象者を、男性35名、女性26名、合計61名とした。分析対象者の平均年齢は46歳であった。最終年度は、収集した唾液検査結果とレセプトデータの関連を解析した。生活習慣病を含む医療費(レセプトデータ)を従属変数、年齢、唾液ヘモグロビン値ならびに唾液中乳酸脱水素酵素の数値を独立変数として重回帰分析、ロジスティック回帰分析など様々な線形回帰分析を試みたが良い適合を得ることができなかった。そこで、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上の数学シミュレーションで表現するneural networksを採用し、新しい解析方法で解析したところ、医療費と口腔の炎症を表す乳酸脱水素酵素の間で良い適合を得ることができた。本研究により唾液中の乳酸脱水素酵素の検査値が高いと全身的な医療費も高く、検査値が低いと医療費も低くなることが示唆された。
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