研究課題/領域番号 |
24659941
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 葉子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (20625016)
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研究分担者 |
内田 知宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (30626875)
松本 和紀 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40301056)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 自然災害 / 看護師 / メンタルヘルス / トラウマ / 心理支援法 / SPR |
研究概要 |
本研究の目的は、第一に、東日本大震災において津波被害の影響を受けた地域の看護師のメンタルヘルスの実態を明らかにすることである。第二に、看護師を対象に、トラウマ体験後のケアに開発された最新の心理支援法であるサイコロジカル・リカバリー・スキル(SPR)を用いたサポートプログラムの介入と調査を行い、SPRを日本で活用する際の課題を明らかにすることである。 看護師のメンタルヘルス調査に関しては、宮城県沿岸部の病院(5施設)に勤務している看護師473名を対象に、震災から約1年後の時点で、自記入式調査を行った。最終的に440名分の調査票が回収された(回収率90.9%)。有効回答数は415だった(有効回答率87.7%)。主な評価尺度はPTSD症状を測定するPCL日本語版、うつ病症状を測定するPHQ-9日本語版、職業性ストレス簡易調査票とした。その結果、被災地看護師のPTSDハイリスク者およびうつ病ハイリスク者は高く、職場が津波被害で全壊した者の方が、職場が津波被害を受けなかった者に比べて、より心理的影響を受けていることがうかがわれた。 SPR介入調査に関しては、被災地に勤務する看護師・保健師を対象としてSPRのワークショップを開催し、前後での質問紙調査とグループディスカッションを通しての質的調査を行った。質問紙調査の結果、SPRに対する興味・関心は高いものの、活用する自信は低いという傾向が明らかになった。一方、質的調査の結果は、SPRを教科書通りの構造で用いるのは難しいが、工夫次第では有用であるという結論に至った。よって、SPRを日本で活用する際の課題としては、応用するフレキシブルさが必要ということが示唆された。 以上の内容については、途中経過を2012年度の学会で報告済であり、現在学術雑誌へ投稿準備中である。
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