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2013 年度 実施状況報告書

看護職専門の外部EAP機関設立を目指した看護職のメンタルヘルスケアプログラム開発

研究課題

研究課題/領域番号 24659944
研究機関新潟大学

研究代表者

渡邊 岸子  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10201170)

キーワードメンタルヘルスケア / 看護職 / 外部EAP機関 / プログラム開発 / ホリスティックケア / スピリチュアルケア / 身体的ケア / 精神的・社会的ケア
研究概要

看護職専門の外部EAP機関設立を目指した「看護職特有のメンタルヘルスケアプログラム開発」の研究活動について、基礎的研究と実践的研究の実績に分けて報告する。
基礎的研究については、「看護師の共感疲労の体験プロセス」と「看護師の自律性の展開過程」の2件の研究は、データの分析を終え、学会発表の抄録作成中である。「動作法の介入研究」については、投稿論文の執筆中である。「職業適応過程とレジリエンス」については、平成26年度内に論文投稿予定である。「患者のスピリチュアルペイン」に関する研究は、学会発表を終え、投稿論文の執筆中である。「看護師のスピリチュアルペインとその介入」については、研究継続中であるが、その一部を事例報告として学術誌へ投稿の執筆中である。これらの研究成果から、看護職特有のメンタルヘルスの課題と、そのためのホリスティックケアの必要性が明らかになってきていることから、その経過報告を学術誌に投稿予定である。
実践的研究については、「看護職自身の身体的ケアとしての骨盤ケアの効果の検討」と「笑いヨガの効果検討」について、学会発表を行った。
また、平成25年6月~9月に、「市民と語る死生観の講座」を開講し、看護職が市民と語る機会をもった。9月~12月には、看護職対象の公開講座を「骨盤ケア」「笑いヨガ」「アロマセラピー」「コラージュ」の4回開催し、現在データの分析を進めている。また、平成26年1月~4月には、看護職対象のグループコーチング講座を4回シリーズで開催し、実施後に聞き取り調査を行い、現在データの分析を開始している。
今後は、以上の研究成果と実施報告をもとに作成したプログラムから、組織の必要に応じたプログラムを提供し、その評価を行う。そのためには、対象施設を限定した研修会を複数回行い、アンケート調査等を実施し、メンタルヘルスケアプログラムのモデルを提案する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基礎的研究において、看護職に特有なメンタルヘルスにおける課題として、共感疲労、自律性、職業適応過程、レジリエンスについては研究を終了し、学会発表および論文投稿の段階にある。看護職のスピリチュアリティ、スピリチュアルペイン、スピリチュアルケアについては、研究を継続しており、順次成果を発表しつつ、研究を継続予定である。したがって、おおむね順調に進展しているといえる。
実践的研究においては、身体的・精神的・社会的側面からの働きかけに加えて、「
spiritual」な側面を加えている。本プログラムの独自性は、看護職のスピリチュアルな側面を含む多面的なメンタルヘルスケアプログラムを開発しようとするものである。現在までに、身体的ケアとして骨盤ケア、アロマセラピー、笑いヨガ、マッサージ、動作法を、精神的ケアとしてカウンセリング、コーチング、リラクセーション法を、社会的ケアとしてコンサルテーション、ワーク・ライフ・バランス、子育て・介護・家族関係の相談を、スピリチュアルケアとして市民と語る死生観の講座、看護職自身が死生観を語る療法をプログラムに加えることができている。これらのプログラムは、使用する目的・対象に応じて、単独でも、組み合わせても活用が可能である。今後は、これらのプログラムを看護職個人、あるいは、組織の運営責任者に周知し活用をすすめていくことができる段階まできていることから、おおむね順調に進展しているといえる。
今後の課題としては、看護職のためのホリスティックケアとして、単に多方面から介入できるプログラムを開発するということだけでなく、一つのアプローチを通して、その人の中で多様な側面がつながり、バランスを回復していくプロセスを説明できる必要がある。したがって、基礎的研究と実践的研究の成果を踏まえて、論文作成を行い、今後の取り組みについて提案する必要がある。

今後の研究の推進方策

1.平成26年度までに作成した看護職ためのメンタルヘルスケアのプログラムを広く紹介する。これまでの基礎的研究と実践的研究の成果を踏まえた冊子を作成して、新潟県内の関係先機関に配付する。また、個々の看護職へは、リーフレットを作成して配布する。
2.一つの施設に限定して、複数回の研修会を開催して、施設における活用方法を検討する。目的・対象別に対応できるプログラムであることを検証する。また、研修会、公開講座という集団への対応だけでなく、個別のメンタルヘルスケアとしての実践をすすめるために、個別相談・個別ケアの体制を整える。
3.これまでの基礎的研究、実践的研究の成果を学会発表・論文投稿する。また、基礎的・実践的研究の成果を踏まえて、看護職特有のメンタルヘルスの課題と、それをケアするためのホリスティックケアとしてのメンタルヘルスケアの必要性についての論文を作成する。
4.看護職のスビリチュアリティ、スビリチュアルペイン、スビリチュアルケアについての研究を継続的に行い、研究成果を順次公表していく。
5.看護職のメンタルヘルスケアの社会的サポートの一つとしてのコンサルテーションには、患者とその家族への対応の相談が入ることから、メッセンジャーナースの活動を加えていくことで、看護職の支援につながる。このことから、コンサルテーションの相談活動にはメッセンジャーナースの活動を加えたプログラム開発が課題である。

次年度の研究費の使用計画

今後の活動として、これまでに開発したプログラムを看護職個人だけでなく、看護職が勤務する施設等へ紹介冊子を配付する。また、これまでは公開講座の形式でプログラムを提供していたが、一つの施設に限定して、複数回研修会を開催して、組織としての活用についての評価を受ける必要がある。さらに、集団を対象としたプログラムだけでなく、個別相談・個別ケアによる対応が必要である。また、コンサルテーションの中に、メッセンジャーナースの活動を取り入れるプログラムの開発が必要である。それらのための経費が必要である。
基礎的研究については、看護職のスビリチュアリティ、スピリチュアルペイン、スピリチュアルケアの研究の継続が必要であり、順次成果を発表していく必要がある。また、平成26年度までの基礎的研究と実践的研究の成果については、学会発表と論文投稿を進めている。これらの経費・旅費等が必要である。
「看護職のためのメンタルヘルスケアプログラム」の冊子を新潟県内の病院をはじめとする施設に配付する。看護職個人にはリーフレットを配布する。編集経費、印刷経費と配付の郵送費等が必要である。基礎的研究と実践的研究の学会発表と論文投稿を行うために、学会参加費、旅費、論文投稿料金等が必要である。
一つの施設に限定して複数の研修会を開催して、目的・対象に応じたプログラムの作成、実施・評価を行う。研修会講師への謝金と交通費、データ収集等の研究協力者への謝金と交通費、研究者の交通費、データの整理・分析補助者への謝金、コンサルタントへの謝金等が必要である。個別相談・個別ケアについては、介入研究の形で協力依頼するために、上記と同様な経費が必要である。社会的側面のプログラムであるコンサルテーションには、メッセンジャーナースの活動を取り入れる必要があることから、上記同様の経費が必要である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] メッセンジャーナースの必要性と今後の活動2014

    • 著者名/発表者名
      渡邊岸子
    • 雑誌名

      コミュニティケア

      巻: 2014年6月臨時増刊号 ページ: 未定

  • [学会発表] がん患者の病名告知期から寛解期に体験するスピリチュアルペインの現出過程2013

    • 著者名/発表者名
      羽毛田博美、渡邊岸子
    • 学会等名
      第19回日本臨床死生学会大会
    • 発表場所
      東京都港区
    • 年月日
      20131207-20131208
  • [学会発表] 看護職自身の身体的ケアとしての「骨盤ケア」の効果の検討

    • 著者名/発表者名
      松山由美子、渡邊岸子、他
    • 学会等名
      新潟看護ケア研究学会第5回学術集会
    • 発表場所
      新潟市
  • [学会発表] 看護学生のレジリエンスとその変化に関連する要因についての研究

    • 著者名/発表者名
      西山和代、渡邊岸子
    • 学会等名
      新潟看護ケア研究学会第5回学術集会
    • 発表場所
      新潟市
  • [学会発表] 介護施設に通所する高齢者への個人ラフターヨガの効果の検討

    • 著者名/発表者名
      今井雄二、渡邊岸子
    • 学会等名
      新潟看護ケア研究学会第5回学術集会
    • 発表場所
      新潟市

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公開日: 2015-05-28  

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