研究課題/領域番号 |
24659945
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
柳沢 節子 信州大学, 医学部, 准教授 (90200534)
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キーワード | スピリチュアルケア |
研究概要 |
H25年度においては、神経難病療養者のスピリチュアルケアの現状と具体的な内容について明らかにするために、ALS(筋委縮性側策硬化症)の母親を介護した経験のある当事者(元介護者)に精神面およびスピリチュアルな苦悩を持つ患者との関わりとその際の困難感、介護者が持つ苦悩について予備調査としての面接を行った。また、その当事者の家族よりスピリチュアルケアの際に必要であると考えられるコミュニケーション手段の一つである文字盤の有用性について示唆を得た。患者の意思を尊重するためにも、できるだけ患者の能力に合わせた意思伝達方法、コミュニケーション方法を使って対応することが必要である。患者に関係する家族、スタッフはできるだけこれらの方法に対応できることが必要であり、その実践可能な状況を把握することも課題の一つであることが推察された。 ケアシステムの構築については、信州大学周辺地区で運用されている通信システムe-MADOの機能として、どのようなコミュニケーション手段の患者が使用可能であるかについて、現在の利用状況をふまえて、長野県神経難病センターの看護師とともに検討した。神経難病でスピリチュアルケアを必要とする患者は、進行性の場合もあり、症状を予測しながらの対応が必要であることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度内に患者・家族および保健・医療・福祉関係者への質問紙調査を実施する予定であったが、様々な疾患の特徴をふまえたスピリチュアルな部分を反映させた調査用紙作成のために、妥当性の検討に時間をかけた。そのため実際の調査の実施・分析は26年度とした。 スピリチュアルケアのためのチームケアシステム構築については、信州大学で運用中のe-MADOの活用に加えて、地域保健推進センターにおける通信システムの利用を検討している。患者・家族のニードを把握しやすく、対応しやすいものを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度については、患者・家族および保健・医療・福祉関係者への質問紙調査を実施し、結果の分析、まとめを行い、チームケアのニーズを検討する。 スピリチュアルケアのためのチームケアシステムについては、信大病院を中心とするe-MADOの利用および、本学に新設された地域保健推進センターの通信システムによるコミュニケーションシステムの使用も検討している。現在本学科に設置されている環境では、複数の場所での通信が可能であり、インターネットのある通信環境さえあれば可能である。これらさまざまな人的、物理的環境システムの利用を含めてより簡便で効果的な方法について検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定では、当該年度に調査のための郵送費・結果の分析のための謝金に使用予定であった。予定する計画が遅れたために、その分の費用は次年度の使用額に追加することとした。これらの費用に関係する研究計画に変更はない。 また、ケアシステムに関するiPadについては、本学科に通信システムの設置が予定されたため、その機能を確認して実施することにしたため、これらの費用は次年度に送ることとした。 質問紙調査については、実施のための郵送・回収費用として使用する予定である。また結果のデータ入力処理についてはアルバイトに依頼し、その謝金として人件費を使用する。最終結果・まとめについては、関係職種に確認を依頼することを考えており、謝金を必要とする予定である。 ケアシステムの構築については、iPadの購入を予定し、台数については本学の地域保健推進センターのインターネット環境も利用しながら、効率的な使用方法について検討中である。
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